研究課題/領域番号 |
24520419
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田端 敏幸 千葉大学, 言語教育センター, 教授 (00135237)
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キーワード | ピッチアクセント / 古典ギリシャ語 / ラテン語 / 甑島方言 / 前接辞 / 長さ制約 / 挿入母音 / 複合語アクセント |
研究概要 |
本年度は借用語音韻論に関する研究に関して、二件の研究発表をおこなった。その一つは平成25年11月に神戸市外国語大学で開催された日本言語学会で「後部要素が二字漢語の複合語アクセントについて」として発表したものである。後部要素が二字漢語の複合語はある種の条件を満たせば、アクセント型にゆれが発生することが知られているが、そのゆれが発生する理由を「長さ制約」と「挿入母音はアクセントをとらない」という二つの制約を用いて説明したものである。「南+アメリカ」のような複合語を「耳+学問」のような漢語の複合語と対照させることによって、両者が実は同じ制約に従っているのではないかという結論に至った。もう一件は、平成26年2月14日に福岡大学で開催された「音声学・音韻論特別公開講演会・研究発表会」で、招聘講演として発表したものである。そこでは、アクセントの対照研究として、ラテン語とギリシャ語の前接辞(enclitic)を取り上げた。これらの言語はピッチアクセントとして日本語と対照させるには好都合だと思われるからである。ギリシャ語やラテン語の前接辞は一語中にアクセントピークを二つもつような状況をつくりだすが、これとよく似た現象として、日本語の甑島方言が分析可能であるという議論を展開した。それによれば、甑島方言に存在する二つのピークは長い語(3モーラ以上の語)に基本音調HLを重複使用したものであるということになる。この研究をさらに展開させて、次年度の研究成果に盛り込みたいものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているという自己点検結果にしたのは、研究成果がまだ論文の形になっていないためである。しかし、学会や研究会での発表は予定通り順調に進んでいるので、その遅れも次年度には十分とりもどすことができると確信している。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に従い、定例の研究会、学会等で成果を発表するとともに、それを論文としてまとめる作業をおこなう。対照研究の視点から分析を進めるために、可能であれば、アジアの言語にも調査の範囲を拡大したい。
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