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2013 年度 実施状況報告書

ドイツ語イントネーションの典型性の研究―日本人ドイツ語上級者との比較―

研究課題

研究課題/領域番号 24520422
研究機関名古屋大学

研究代表者

成田 克史  名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (40128202)

研究分担者 RUDE Markus  名古屋大学, 教養教育院, 特任准教授 (90282342)
キーワードドイツ語 / イントネーション / 日本人学習者
研究概要

今年度は、ドイツ語学習におけるプロソディック・ライティングによる韻律表記の効果を見るために、予備実験として、ドイツ語初級学習者を対象に、発音指導にプロソディック・ライティングを用いたグループと用いなかったグループの発話における韻律の比較を行うとともに、本実験に向けて、ドイツにおいてドイツ語母語話者の発話の録音を行った。
予備実験では、プロソディック・ライティングの使用の有無のほかに、学習者の属性の違い(いずれも大学1年生であるが、専門分野が異なる)、担当教員の指導法の違い、練習量の不足などが影響したせいか、明瞭な差を見出すことはできなかったが、プロソディック・ライティングを用いたグループの一部はイントネーション、主アクセントの位置、文末音調の明瞭度について、プロソディック・ライティングを用いなかったグループよりも有意に優れているという結果を得た。
ドイツ語母語話者の発話は文を読み上げさせることによって採取するため、発話者は当該の文の統語構造は自ずと把握できる。情報構造と発話意図については、明示的に説明しても、発話者に俳優や声優の素養がなければ、必ずしも条件に合った発話を行うことが困難であるという判断から、文脈から自然に情報構造、発話意図が把握できるように、長めの文章を朗読させることとした。朗読する文章として、研究代表者が執筆した教科書 Antworten Sie bitte auf Deutsch! の第11課及び第12課のテクストを選定した。ドイツ連邦共和国、コンスタンツ大学言語学領域音声学教室の協力を得て、2月末に5日間で12名の発話を収録することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

研究計画では、20名以上のドイツ語母語話者の発話を採取することを目標に掲げているが、今年度は12名の発話の採取にとどまった。事前の情報収集により、20名の協力者が得られるという見通しを持ったが、研究代表者が渡航できる時期が2月末に限られ、またその時期は先方(コンスタンツ大学)の学期末休暇開始後に当たり、協力を得られる学生が思いのほか少なかったことが最大の理由である。採取した音声について、聴覚的には低ピッチアクセントが頻繁に現われている印象が強く、これが Delattre (1965) が主張する強く右に傾斜した S 字型のパターンをもたらしていると思われるが、まだ音響分析によって確認するには至っていない。これも、渡航時期が2月末に限られていたために、分析に必要な時間が確保できなかったことによる。

今後の研究の推進方策

平成25年度はドイツ本国における発話の採取が12名にとどまったが、目標の20名に到達するために、平成26年度に日本国内において残り8名のドイツ語母語話者の発話を収録し、全員の音声分析、観察、記述を行う。また、同じ文章を、日本人ドイツ語上級者に発話させ、同様に分析、観察、記述を行う。これをドイツ語母語話者の発話と比較することにより、ドイツ語母語話者には見られないイントネーションパターンの特徴を探る。これにより、日本人ドイツ語上級者のイントネーション上の問題点を把握した上で、ドイツ語母語話者の発話の分析から得られた、特定の条件のもとで典型的に現れるイントネーションを、プロソディック・ライティング法で表記し、日本人向けドイツ語イントネーション教授法のための基礎資料とする。

次年度の研究費の使用計画

ドイツ語母語話者の発話者が予定の20名に達しなかったことと、予測していたよりも短い時間で録音が完了したことにより、謝金の支出が少なかったことによる。
前年度からの繰越金については、日本在住のドイツ語母語話者の音声提供に対する謝礼と統計ソフトウェアの導入費用として、また、録音資料の整理と音声の分析作業を短期雇用に委託することによる研究の進捗の加速のために使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Eine Vorstudie zur Effektivitaet der Prosodischen Schrift ─ Prosodierealisation bei japanischen Deutschanfaengern ─2013

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus und Katsufumi Narita
    • 雑誌名

      ことばの科学

      巻: 26 ページ: 79-94

  • [雑誌論文] Prosodic Writing with 2D- and 3D-fonts: An approach to integrate pronunciation in writing systems2013

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus
    • 雑誌名

      言語文化論集

      巻: 35 (1) ページ: 233-252

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公開日: 2015-05-28  

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