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2014 年度 実施状況報告書

ドイツ語イントネーションの典型性の研究―日本人ドイツ語上級者との比較―

研究課題

研究課題/領域番号 24520422
研究機関名古屋大学

研究代表者

成田 克史  名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (40128202)

研究分担者 RUDE Markus  名古屋大学, 教養教育院, 准教授 (90282342)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2016-03-31
キーワードドイツ語 / イントネーション / 典型性 / 低上昇調
研究実績の概要

2014年2月から7月にかけて収録したドイツ語母語話者20名と日本人ドイツ語上級者4名朗読音声の冒頭の一文 An einem Dienstagnachmittag ging Silke mit Viviane zusammen zum Kurfuerstendamm(ある火曜日の午後、ズィルケはヴィヴィアーネと一緒にクーァフュルステンダムへ行った)のイントネーションを分析した。
ドイツ語母語話者20名のうち、12名の発話がきわめてよく似たピッチ曲線を示すことが確認された。ドイツ語母語話者は上記の文を二つのイントネーション句に分割して朗読していると見られ、その境界は ging の前にある。前半のイントネーション句は次のようなアクセントで構成される:句頭は低、Diens- は高から下降、-nach- は低から上昇、句末は無標である。後半のイントネーション句は次のようになる:句頭は低、Sil-、-via-、-sam- はいずれも低から上昇、Kur- は高から下降、句末は低である。低から上昇するアクセントが置かれる音節の位置と、ピッチ曲線における強く右傾した S 字型パターンが出現する位置とが概ね一致することから、低から上昇する、すなわち低上昇調アクセントが、Delattre(1965, 25-26)がドイツ語に典型的と呼んだピッチパターンの源であることが推論される。
日本人ドイツ語上級者については音声を収録できた人数が上記の分析の段階では4名にとどまった。うち3名はかなり母語話者に近いイントネーションを習得しているといえるが、ドイツ語上級者であっても母語話者とは異なるいくつかの特異なピッチパターンが生じていることが確認できる。また1名のようにピッチ変化が非常に少ない話し手もあることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

ドイツ語母語話者については20名の朗読音声を収録し、その分析の結果、一定のドイツ語イントネーションの典型性を見出すことができたが、日本人ドイツ語上級者については年度末現在で10名の音声を収録したにとどまっており、そのイントネーションの特異性を十分に探り出したとはいえない。またまとまりのあるテクストの朗読音声のうち、冒頭の一文の分析が終わったばかりであり、さらに多くの文のイントネーションを分析することにより、より信頼性の高い結果を求める必要がある。さらにその結果を基に、韻律の疑似三次元的表記法である Prosodic Writing を用いて、典型的と見なされるドイツ語イントネーションを視覚的に提示する作業が残っている。

今後の研究の推進方策

さらに日本人ドイツ語上級者の協力を求め、最終的にドイツ語母語話者と同数の20名の朗読音声を収集する。
収集した朗読音声のイントネーション分析を進め、低上昇調アクセントがドイツ語イントネーションの典型性に関わる特徴であることを検証する。
韻律の疑似三次元的表記法である Prosodic Writing により、複数の文を代表例として、典型的と見なされるドイツ語イントネーションを視覚的に提示する。

次年度使用額が生じた理由

朗読音声の提供を受ける日本人ドイツ語上級者を十分に集めることができず、謝金の支出が予定より少額にとどまった。
また、ドイツ語母語話者のイントネーションの典型性について十分信頼できる結果を得るためにはさらなる分析が必要であり、そのイントネーションの型を視覚的に提示する報告書の作成に至っていない。

次年度使用額の使用計画

さらなる日本人ドイツ語上級者の協力を得て、朗読音声の提供に対する謝金として支出する。
また、ドイツ語母語話者のイントネーションの分析を進め、そのイントネーションの型を視覚的に提示する報告書の作成に充てる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (3件) (うちオープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] ドイツ語イントネーションにおける低上昇調アクセントについて ―ドイツ語母語話者と日本人ドイツ語上級者の比較―2015

    • 著者名/発表者名
      成田克史
    • 雑誌名

      金城学院大学論集 人文科学編

      巻: 11 ページ: 176-186

    • オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Prosodic Writing for visualizing spoken language for learners: how to improve its flexibility and usability2014

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus, Takakazu Nakane, Kiyofumi Motoyama & Katsufumi Narita
    • 雑誌名

      Designing Objects Connects Literacy

      巻: 1 ページ: 27-27

  • [雑誌論文] Prosodische Schrift zur Ausspracheschulung: Erfahrungen und Konsequenzen aus dem Unterrichtseinsatz an einer japanischen Universitaet2014

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus
    • 雑誌名

      Studien zur Deutschen Literatur und Sprache

      巻: 46 ページ: 43-58

    • 査読あり
  • [学会発表] Akademische Kommunikation - Grundelemente Akademischen Schreibens und ein Plaedoyer fuer interdisziplinaere Transparenz2015

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus
    • 学会等名
      2nd International Symposium on Academic Writing and Critical Thinking
    • 発表場所
      Nagoya University
    • 年月日
      2015-02-21
  • [学会発表] Reshaping Sentences with Excel for Showing Prosody2014

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus
    • 学会等名
      JALT2014 International Conference
    • 発表場所
      Epochal Tsukuba International Conference Center
    • 年月日
      2014-11-23
  • [学会発表] Prosodic Writing for visualizing spoken language for learners: how to improve its flexibility and usability2014

    • 著者名/発表者名
      Rude, Markus, Takakazu Nakane, Kiyofumi Motoyama & Katsufumi Narita
    • 学会等名
      Visual Literacy International Symposium "Designing Objects Connects Literacy"
    • 発表場所
      Nagoya University, Graduate School of Information Science Building
    • 年月日
      2014-07-21
  • [学会発表] Entwicklung von Hoerverstehen und Sprechfaehigkeit bei japanischen Deutschlernenden durch ein Frage-Antwort-Verfahren2014

    • 著者名/発表者名
      Katsufumi Narita & Markus Rude
    • 学会等名
      日本独文学会東海支部夏季研究発表会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2014-07-12

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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