研究課題
本研究は、コーパス(電子媒体の言語研究資料)を用いた日本語研究の新たな領域と手法を開拓し発展させることによりコーパス日本語研究の高度化を推進するとともに、コーパス関連ソフトウェアの開発・公開などを通じて学界におけるコーパス日本語研究の普及・実践に寄与することを目的とする。本年度は、日本語コーパスに基づく各種の事例研究の可能性を追求するとともに、それを通じて獲得した大規模な言語資料からの情報抽出と分析の技術を用いて日本語と中国語の意訳地名の歴史の分析を行った。その成果についてはすでに執筆をほぼ終えており、2014年度中に論文の形で刊行の予定である。また、各種のコーパス関連ソフトウェアの開発・公開にも継続的に取り組んでいる。インターネット上に公開しているソフトウェアのうち、本年度は①日本語の任意のテキストから語句を検索してKWIC索引の形で出力するKWIC、②KWIC索引を語句の前後の文脈に応じてソートするsortKWIC、③BCCWJの検索結果に基づいて語の共起関係を分析するBNAnalyzer、④KWIC索引から元の原文テキストを参照するSource Text Retrieverのそれぞれについて機能強化を図るとともに、外国語版Windowsで使用する際に生じ得る問題を可能な限り解消した。外国語版Windowsへの対応により、国内外の日本語研究者により広くソフトウェアを利用してもらうことが可能になった。
2: おおむね順調に進展している
達成度は目的の項目ごとに異なるが、中でも意訳地名の歴史の分析に関しては当初の見通しを大きく上回る収穫を得た。コーパス関連ソフトウェアに関しても、外国語版Windowsにも対応し、国内外の利用が増えている。
当初の計画に従って、コーパスに基づく日本語研究の高度化と学界への普及という課題に総合的、多角的な見地から取り組む。研究費も、当初の計画の通り、主に専門書籍やパーソナルコンピュータおよび関連機器を購入するための物品費、および、国内外での研究成果発表のための旅費として使用する。
健康上の問題その他の突発的な事情が重なり、可能な研究活動が制約を受けた。研究の障害となる事情はほぼ解消したので、当初の計画に従って研究を進める。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)
藤田保幸編『形式語研究論集』
巻: - ページ: 61~85
『日本語学』
巻: 第32巻第14号 ページ: 216~223
Giuliana Diani, Julia Bamford and Silvia Cavalieri.(eds.) Variation and Change in Spoken and Written Discourse: Perspectives from Corpus Linguistics
巻: - ページ: 255-267
http://www.let.osaka-u.ac.jp/~tanomura/