手続き的制約は言語構造の弁別化に有効である。do it照応や空補文照応は指示対象をコンテクストから義務的に補充する意味的手がかりを符号化している点で飽和という表意構築プロセスと関わる。それに対して、do thisのような直示的表現は聞き手の注意を直示領域の特定の項目へ向ける。一方、論理形式に欠損要素をもつ言語構造として、動詞句削除は、統語的手がかりが義務的に非明示要素の補充を指図する点で飽和が関わっている。また、文断片的発話の意味解釈には自由拡充という表意構築のプロセスが関わり、自由拡充を要する典型的な構造よりも相対的に大きい処理労力を相殺する認知効果を得るのは、慣習的に使用されるからである。
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