研究課題/領域番号 |
24520435
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
漆原 朗子 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00264987)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 形態論 / 統語論 / 意味論 / 状態性述語 / 形容詞 / 繋辞 / コピュラ |
研究実績の概要 |
研究代表者は状態性述語、とりわけ形容詞に関する生成文法の枠組みでの研究、および国語学・日本語学の分析を批判的に検証した。そのために、特に絶版となっている国語学文献の収集に努めた。 中でも、九州の諸方言の調査のため方言学の文献を詳細に検討、調査項目の絞り込みと質問票の雛形作成に着手した。 また、朝倉書店から出版されている『朝倉日英対象言語学シリーズ』第4巻『形態論』の編著者として、本補助金研究で得られた成果の一部を援用しながら、第1章「文法における形態論の位置づけ」を執筆・校正すると共に、全巻の校閲等に携わった。 連携研究者の岸本 秀樹氏はイタリアの学会で形容詞の能格性に関する論文 “Ergativity of adjectives in Japanese.”を発表、査読付国際学術誌Snippets vo. 29に掲載された。また、本補助金研究によって2013(平成25)年度に行った日本英語学会第31回大会ワークショップ「状態性述語の形態・統語・意味をめぐって」での発表論文「状態述語と感嘆表現」をさらに発展させ、the 9th Workshop on Altaic Formal Linguistics (WAFL 9)にて発表、Proceedingsに掲載された。さらに、「ない」を含む複合形容詞を文法化の観点から捉え、国立国語研究所主催の国際学会『文法化:日本語研究と類型論的研究』(NINJAL International Symposium: Grammaticalization in Japanese and across Languages)において「日本語動詞否定辞「ない」の文法化について」と題する論文にまとめて発表した。 連携研究者の多田 浩章氏は引き続き状態性述語の意味的側面について、形式意味論の枠組みも用い、より広範なデータに基づく定式化を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本補助金研究を申請した2012(平成24)年11月には予見できなかったことであるが、研究代表者は交付年度である2013(平成25)~2014(平成26)年度の2年間大学において副学長(教育・研究・国際交流)に任ぜられた。2014(平成26)年度には任期が終了すると思っていたところ、2015(平成27)~2016(平成28)年度も副学長(国際化推進担当)に任ぜられ、これまでのグローバル人材育成推進室長に加え、国際教育交流センター長も兼務することとなった。 当該センターは海外からの留学生の受け入れおよび本学留学生の送り出し(交換/派遣留学・語学研修等)を担当する部局であり、そのため、海外協定校の開拓など長期出張を伴う新たな業務や留学生等派遣選考(書類選考・面接)が増加した。さらには、長年多くの問題をかかえていた国際教育交流センターの管理運営に多くの時間を取られた。 その結果、予定していた方言調査を実施することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
国際教育交流センター長2年目となる次年度は、2015(平成27)年度に行った種々の改善策により、上述の問題は解決の方向に向かうことが期待されることから、当該年度の進捗状況における若干の遅れを取り戻すことが可能であると考えている。 具体的には、当該年度に実施できなかった方言調査を行い、データを収集、整理・分析を行う予定である。 また、2016年12月3日(土)・4日(日)に福岡大学にて開催予定の日本言語学会第153回大会にワークショップ「形容詞の構文と意味の通言語的比較」(仮題)を応募する予定で、現在、研究代表者および連携研究者の間で意見交換をしながら、テーマを絞り込んでいるところである。 そして、最終年度であることから、まとまった論文の執筆に着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に予定していた方言調査等が行えなかったことから、それにかかる旅費、および収集したデータの整理・分析のために支出を予定していた謝金を執行しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上述の方言調査等を次年度に行うと共に、学会発表のための旅費として執行する計画である。
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