研究課題/領域番号 |
24520438
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京家政学院大学 |
研究代表者 |
橋本 文子 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (20237928)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 東北方言 / 音韻論 / 音変化 / 音声学 / 言語学 |
研究概要 |
東北方言の音変化とその方向性に関する研究を遂行するにあたり、平成24年度はまず東北方言に関しての文献や資料を調査することから始めた。これまでも国立国語研究所やいくつかの大学で東北方言に関する文献や資料について調べてきた。本研究では、さらに実際にその方言が話されている地域には全国的にはその存在が知られていないその地域でしか手に入らないような文献や資料があるのではないかと考え、それらを見つけ出して必要に応じて収集し、研究を進める上で貴重な資料としていくことを一つの目的としている。 平成24年度は青森県の八戸市・青森市、岩手県の盛岡市・北上市で文献・資料の調査を行った。市立図書館や県立図書館、また地域の資料館等を訪ね、資料調査にあたった。また、仙台で学会が行われた際に東北大学や地域にある図書館を訪ねて文献調査を行った。このように各地域にある図書館等を訪ねたことにより、東京ではその存在を知ることが難しい資料や音声データがやはり存在していることを確認することができた。 方言が話されている地域の図書館等では、地元の方言を大切に思いその状況を記録し保存したいと考える研究者や一般の方々の手による資料が見つけられることがある。また、CDなどによる音声データもある場合もある。そういったその方言を話す地域ならではの資料や音声データをどのように本研究に取り入れ生かしていけるのか今後検討していきたい。 また、本研究の大きな柱である実際に現在話されている方言を音声収集することについては、まず青森県八戸市の市役所を訪ねて調査の目的や概要を説明し協力を依頼した。その際に地域の方言に詳しい方を紹介していただき、音声収集についての貴重なアドバイスを受けることができた。今後は各調査地点で実際に音声収集を行い、年代や地域によりどのような違いが見られるのかを探っていきたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東北方言の音変化とその方向性を研究するにあたり、東北方言が話されている地域を実際に訪ね、その地域ならではの文献や埋もれた資料がないかどうかを調査し、それと共に各地域の調査地点で三つの年代のグループの自然発話を収録して分析することを計画した。 平成24年度は、8月に学会で仙台に行った際に東北大学の図書館を訪ね、仙台地方の方言について書かれた文献について調べた。そしてその調査を皮切りに東北方言の文献調査を開始した。9月には青森県の青森市・八戸市及び岩手県の盛岡市・北上市にある県立図書館や市立図書館等を中心に北東北方言に関する文献調査を行った。3月末には実際の方言音声の収録を行うために最初に青森県八戸市の市役所を訪ね、調査の趣旨を説明し調査の協力の依頼をした。そこでは地元のことばである南部方言の紹介と保存に力をいれ活動をしている方を紹介していただき、その方から様々な貴重なアドバイスを受けることができた。 研究の進捗状況については現段階では少し遅れぎみであると言わざるを得ない。その理由としては、まず調査を一人で行っているために時間的にも作業的にも調査が限られてしまうということがある。文献の調査を行うだけでも一ヶ所で一日を要し、数ヶ所であれば数日が必要となる。また音声収集にあたっては、実際に収集が行えるまでには多くの関係者の了承を得ながら様々な手続きを経る必要があり、音声収集が行えるまでには当初考えていたよりも相当の日数を必要であることがわかった。 こういった状況を踏まえて今後の調査をより円滑に行っていくためには、その方策について改めて考える必要があるということを痛感させられた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究を円滑に進めていくためには研究の協力者が必要であることを実感した。本研究の計画段階では文献調査については一人で行い、音声収録についてはできるだけ被験者が自然な会話ができるように地元の方にお手伝いいただくことを考えていた。しかし、実際に方言の話されている地域で文献調査を行ってみると考えていたよりも時間がかかること、また何よりも一人で全ての調査を行っていくことには時間的にも作業的にも限界があることに改めて気づいた。そこで本研究を円滑に進めていくためには、東北方言に詳しいかあるいは興味を持っている協力者が不可欠であり、協力しながら研究を進めた方が様々な点で有意義であろうことがわかった。 また、今後実際の方言音声の収集を行うにあたっては、これまで実地調査を行ったことのある方に調査をする上での様々な注意点を伺い確認する必要があること、そして実地調査の方法や仕方をよく検討して本研究での音声収集の方法をしっかりと確立させること、自然会話と質問項目による音声収集を行い、質問項目に用いる方言の語彙や表現については十分に検討することが肝要である。 平成24年度は初年度であったため研究調査の取りかかりが遅かったこともあり、調査全体が計画当初より遅れぎみとなっている。今後は平成24年度の調査状況を反省点として、より綿密な計画の下により様々な情報を得ながら研究のスピードアップとその充実を図っていきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度の研究調査が当初の計画より遅れているため、次年度の研究費には前年度の研究費の多くが持ち越された状況にある。平成25年度には前年度計画して実行できていない分も含めてできるだけ縦横に調査を進めていきたいと考えている。調査各地点にも計画的に足を運んで有意義な文献調査と音声収集を行っていきたいと考えている。また、研究の協力をしていただく方についてもその費用を計上することになるであろう。 また、方言の音声調査をするにあたって必要なことなどについて計画段階から実地調査の経験者や地元の方言研究者に貴重な意見を伺いたいと考えている。実地調査をするにあたっては、調査を行うために各関係機関に相談し依頼する際に、様々な経費が必要になることも考えられる。その際に必要となる費用についても調査経験者に確認し、円滑な調査が行えるように研究費を有効に活用しながら、有意義な研究が行えるようにしていきたいと考えている。
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