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2013 年度 実施状況報告書

アスペクト区分は唯一に決まるのか? ―実時間処理からの検討―

研究課題

研究課題/領域番号 24520440
研究機関法政大学

研究代表者

石川 潔  法政大学, 文学部, 教授 (10287831)

研究分担者 大羽 良  中央大学, 経済学部, 准教授 (10308158)
キーワード意味処理 / アスペクト / 並列処理 / self-paced reading
研究概要

本研究計画の直接の目的は、動詞のアスペクト特性に関する「再解釈説」と「優先解釈説」との間の優劣の比較である。再解釈説によれば、動詞は常に1つのアスペクトのもとでのみ解釈されるのであり、副詞などとの間に不整合が生じた場合には、元のアスペクト特性から、別のアスペクト特性へと、動詞を解釈し直すことになる。それに対して優先解釈説によれば、複数のアスペクト特性での解釈が、異なった優先度のもとで並列に保持され、副詞などの間の不整合は、優先度の再設定として捉えられる。
本研究計画では、self-paced reading および eye-tracking の実験が予定されており、2年目では、予定通り、self-paced reading 実験を終了した。当該の動詞領域での読み時間のデータは、比較している2つのどちらの仮説の予測にも反していたが、1つ後ろの領域での読み時間のデータは、再解釈説の予測に反し、優先解釈説の予測通りであった。注目している効果が、1つ後ろの領域に(のみ)あらわれるという結果(効果の遅れ)は、読解研究ではよく見られるパターンなので、この結果は、優先解釈説を支持するものとして解釈できる。アスペクト解釈について再解釈説より優先解釈説が支持されるということは、文レベルでの意味処理が直列でなく並列であることを示唆する。
他方において、今回の結果はいくつかの新たな課題を示唆する。まず、効果の遅れ自体は珍しいことではないが、今回の実験でなぜ効果が遅れたのか、という問題である。また、2つの対立仮説の優劣決定に直接は関係ないが、効果の遅れとも関わり得る話として、「動詞領域での予期せぬ副詞効果」があげられる。すなわち、瞬間副詞条件の方が期間副詞条件より、動詞の読み時間が有意に長かった。この理由の解明は今後の課題となる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、self-paced reading 実験を終え、eye-tracking 実験の準備に取り掛かっている。

今後の研究の推進方策

当初の予定通り、eye-tracking 実験を実施予定である。但し、self-paced reading で得られた「効果の遅れ」や「予期せぬ副詞効果」の理由を予定外の追加実験で確かめるか、または、そういった効果を織り込んだ形で eye-tracking 実験を設計し直すかを、チーム内で検討中である。

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公開日: 2015-05-28  

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