研究課題/領域番号 |
24520441
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
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キーワード | 心態詞 / ドイツ語 / 韻律的特徴 / 音声分析 / 終助詞 |
研究概要 |
平成25年度前半は、平成24年度末に実施したドイツ語の「反論」の意図を持つ心態詞schon, doch, jaを含む発話文の実験の音響分析を行った。音響分析に際しては、研究補助(大学院生)1名の協力により音声分析ソフトPraatにおけるスクリプトを作成し、主として基本周波数に関するデータを収集した。これらのデータ分析の際は研究補助による協力を依頼した。またこれと並行し、平成24年度末に実施したドイツ語学習者とドイツ語母語話者によるドイツ語心態詞に関する会話調査の転記作業を研究補助(大学院生)の協力により進め、それを基に、研究協力者が分析を行った。これら一連の研究成果を、研究協力者と共同で2013年9月末の日本独文学会秋季研究発表会(北海道大学)にて発表した。 平成25年度後半は、前半にまとめた研究成果について、オランダから来日中であった音声音韻論の専門家との研究の打ち合わせを実施し、今後の分析の進め方について再検討を行った。その結果として、平成25年度前半に分析した発話実験データを用い、知覚実験を実施する必要があるとの結論に至り、2014年2月初めにドイツのHalle-Wittenberg大学の音声学研究所において、ドイツ語母語話者12名を被験者として、「反論」の意図を持つ心態詞の発話についての知覚実験を実施した。実施の際、研究補助(大学院生)の協力によりPraat上で知覚実験用のプログラムを作成した。この知覚実験データの分析は平成26年度前半に研究補助の協力の下に引き続き行い、発話・知覚の両面からの分析を進めていく予定である。さらに平成26年度は音声コーパスのデータにおける反論に用いられる心態詞の発話の分析を行い、平成24年度、25年度に実施した実験の結果と照らし合わせ、ドイツ語の「反論」の意図を持つ発話の韻律的特徴を明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究においては、ドイツ語心態詞を含む様々な発話意図を持つ発話の韻律的特徴と日本語終助詞を含む発話の分析を行う予定であるが、現時点ではドイツ語心態詞を含む文の発話・知覚の分析のみを行っており、日本語終助詞に関しての分析が進んでいない。平成26年度は、ドイツ語心態詞の分析と並行し、日本語終助詞に関する先行研究を調査し、それを基に、日本語終助詞を含む発話の実験を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は研究補助(大学院生)の協力の下、ドイツ語心態詞の音声コーパスに関する分析と実験データの分析を円滑に進め、ドイツ語の心態詞を含む発話の意図と音声的特徴についてある程度まとまった結果を出すことを当面の目標とする。これと並行し、日本語終助詞を含む発話と音声の関係に関して、先行研究を収集して調査し、日本語終助詞を含む発話と音声の関係について、発話と知覚の両面からの分析を行い、ドイツ語心態詞の発話・知覚の結果との比較を行う。適宜、音声学・音韻論の専門家との打ち合わせを行い、研究成果について意見を聞き、実験デザインの修正を行いながら進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度はドイツ語心態詞の発話実験データの分析および知覚実験の実施を行い、当初の予定であった日本語終助詞の先行研究の調査、日本語終助詞を含む発話を用いた実験の実施、また、ドイツ語心態詞の音声コーパスの分析が実施できなかったため、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、ドイツ語心態詞の知覚実験データの分析を行うと同時に、ドイツ語心態詞の音声コーパスの分析を進める。さらに、当初の予定に組み入れていたが、平成25年度に実施できなかった日本語終助詞の先行研究の調査を行い、日本語終助詞を含む発話を用いた実験を実施する。
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