研究課題
平成28年度前半は、前年度に録音したドイツ語心態詞schonが含まれる1)確信、2)留保付肯定、3)反論の3つの発話意図を含む発話のデータに関して音響分析を行い、文全体の持続時間、各音節の持続時間、文全体におけるF0の平均、最大・最小値、変動幅、ピッチアクセントが置かれる部分(動詞部分もしくは心態詞schon)におけるF0の平均、onsetの値、F0ピーク値、変動幅、母音開始からF0ピークまでの持続時間について統計分析を用い考察を行った。「反論」の発話意図を含み、心態詞schonではなく動詞部分にピッチアクセントが来るデータのみを対象として「確信」の発話と比較したところ、各音節の持続時間、動詞の開始部分のF0、F0の最大値および変動幅、さらに文全体のF0の平均値において、有意な差が見られた。これらの発話データを用い、ドイツ語母語話者の協力の下知覚実験を実施した結果、「確信」と「反論」はそれぞれ5割程度の正答率であった。但し、「反論」の発話意図の音声データのうち、動詞部分にピッチアクセントが置かれる発話データにおいても、半数の割合で「反論」として正しく知覚されていた。以上の発話および知覚実験の結果をまとめ、日本独文学会主催の語学ゼミナールにおいて口頭発表を行い、論文を執筆した。第一次査読において掲載可との返答をもらっており、最終的な査読結果は本年7月に出る予定。平成28年度後半は、前年度に収集したドイツ語心態詞と同様の1)「確信」2)「留保付肯定」3)「反論」の発話意図を持つ日本語終助詞「よ」を含む発話文の音響分析を行った。その結果、発話全体の持続時間が「反論」において長くなり、文全体のF0変動幅が「反論」において大きくなるなどの韻律的特徴が見られた。これら一連の成果をまとめ、ドイツ語心態詞との比較を行い、論文を執筆する予定である。
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Germanistik zwischen Tradition und Innovation: Akten des XIII. Internationalen Germanistenkongresses Shanghai 2015.
巻: 4 ページ: 253-259
10.3726/b10391