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2013 年度 実施状況報告書

量化文解釈に基づく意味処理モデルの構築

研究課題

研究課題/領域番号 24520442
研究機関立命館大学

研究代表者

藏藤 健雄  立命館大学, 法学部, 教授 (60305175)

研究分担者 井上 雅勝  武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (00243155)
松井 理直  大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00273714)
キーワード形式意味論 / 量化文 / 曖昧性 / オンライン処理
研究概要

本研究の主たる目的は、数量詞の解釈がオンラインでどのように処理されているかを明らかにすることである。我々は、Kurafuji et.al 2007, 井上他 2008 , Kurafuji et.al 2012 において、量化表現がオンラインでの統語処理に影響を与えることを報告し、そのモデルを提示した。しかしながら、これらの研究では実際与えられた数量詞が、裸名詞あるいは他の数量詞とどのような解釈的関係になっているのかというところまでは見ることができなかった。今回のプロジェクトの目的は量化文の選好的解釈とその要因を明らかにすることである。
当初は複数のイラストを用意し、当該文の最も自然な解釈を表しているものを被験者にひとつ選択させることを予定していた。しかし、可能な解釈が多岐にわたるため予め用意すべきイラストの数が膨大になることや、解釈間の厳密な違いをイラストで表現することが非常に困難であることがわかり、イラストを用いた調査は断念した。代案として、被験者がひとつの文に対して10程度の設問にイエス/ノーで回答することで、最終的にどのような解釈をおこなっているかがわかる問診マニュアルを作成することにした。具体的には、例えば「ほとんどの生徒が机をふいた」という文に対して、被験者は「生徒のなかに机をふいていない生徒はいますか?」「生徒にふかれた机はひとつだけですか?」のような設問にイエス/ノーで回答していく。このイエス/ノーの組み合わせにより、被験者がどのような数量詞の解釈をしているのかが自動的に分かる。今年度(25年度)はこの問診マニュアルのプログラム作成に費やした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

前述のとおり、この問診マニュアルでは、被験者はひとつの例文に対して10問程度の設問にイエス/ノーで答えることになる。そして、イエス/ノーの組み合わせがどのようになっているかによって自動的に被験者が量化文をどのように解釈したかがわかるようになっている。ただし、この問診マニュアルでは、可能な解釈パタンを抽出するため、あらかじめ約5万7千通りの回答を用意する必要がある。この解釈パタン作成過程で何度か重要な変更を加え、その都度バグがないかの確認を行なったため、計画が大幅に遅れてしまった。現在、エクセル上での基本作動の確認と、解釈パタンの最終チェックは終えている。

今後の研究の推進方策

現在、刺激文として使用する例文を100例ほど作成している。今後これらの例文の最終確認を行う。最終年度である26年度には実際の調査を行い、最終報告書をまとめる。想定される調査上の不備としては、(1)被験者の判断が質問項目回答中に変化する可能性、(2)被験者の質問項目に対する誤解、(3)刺激文中の語彙の相違による反応のばらつき等があげられる。(1)に関しては調査方法のデザイン上避けられない。ただし、イラストを用いた場合とは異なり、限定された候補の中から選択することを強要しているわけではないので、深刻な問題は生じないと考えている。これに関してはむしろ学会等で心理学者の判断を仰ぎたい。(2)に関しては調査者が適宜より詳しい説明を施すことにしている。(3)は量化詞をつけない場合との比較をすることによってなんらかの知見が得られればよいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

量化文判断のための問診マニュアル作成の途中でプログラムを大幅に修正した。そのため、25年度中に実際の調査を行なうことができなかった。当初、調査に必要な人件費等として支出する予定であったが、執行することができなかった。
問診マニュアルはほぼ完成しており、表計算ソフト(エクセル)で作動するようプログラムされている。26年度は、実際の調査の際の人件費およびプログラム作動のための端末の購入費として、経費を使用する予定である。25年度に大幅修正したプログラムを用いると、被験者ひとりあたりにかかる時間が大幅に短縮できるため、限られた時間内で多くの被験者に参加してもらうことが可能となる。これにより生じる人件費の上昇分の一部として差額を当てる。また、ラップトップ型パソコン等手軽な計算機端末を使用することで場所を限定せずに、被験者を集めやすくなる。26年度は5台程度安価な計算機を購入する予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 想定確信度の時系列的更新2014

    • 著者名/発表者名
      松井理直
    • 雑誌名

      神戸松蔭女子学院大学研究紀要 文学部篇

      巻: 3 ページ: 41-61

  • [雑誌論文] 名詞句のタイプが日本語文理解のガーデンパス効果に及ぼす影響2013

    • 著者名/発表者名
      井上雅勝
    • 雑誌名

      日本認知心理学会第9回大会発表論文集

      巻: 9 ページ: 73

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 確率に基づく条件文理解に必要な可能世界の近接性判断2013

    • 著者名/発表者名
      松井理直
    • 雑誌名

      日本認知科学会第30回全国大会論文集

      巻: 30 ページ: 418-427

    • 査読あり
  • [学会発表] 混合モデル分析ワークショップ

    • 著者名/発表者名
      神長伸幸・井上 雅勝
    • 学会等名
      関西心理言語学会ワークショップ
    • 発表場所
      関西学院大学 梅田サテライトキャンパス(大阪府大阪市)
    • 招待講演
  • [学会発表] NPI-Exceptives and Null Arguments

    • 著者名/発表者名
      Kurafuji, Takeo
    • 学会等名
      Glow in Asia X
    • 発表場所
      National Tsing Hua University, Taiwan
  • [図書] 生成文法の軌跡と展望2014

    • 著者名/発表者名
      小野尚之、近藤真、藏藤健雄、松岡和美、藤本幸治、田畑圭介、野村昌司、槙田裕加、北尾泰幸、平井大輔、小谷早稚江、島田将夫
    • 総ページ数
      262(88-107)
    • 出版者
      金星堂

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公開日: 2015-05-28  

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