研究課題/領域番号 |
24520447
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研究機関 | 独立行政法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
水上 悦雄 独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所音声コミュニケーション研究室, 主任研究員 (30327316)
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キーワード | 対話戦略モデル / 基盤化過程 / 基盤化ネットワーク |
研究概要 |
1)モデルおよびラベル手法の見直し(ラベルの一致度、一貫性の検証と検討) 前年度(H24年度)実施したラベル付与は,ラベル設計者(研究代表者)の設計に従い,一人の作業者が付与を行うという形をとったため,ラベルの一貫性が保証できていないという問題があった.そこで,マニュアルの整備後,2名の異なるラベラーに教示を行い,個別に数対話にラベリングを行い,その一致度を測定した.その結果,クエリ(ユーザ要求)が単一の典型的な旅行案内会話の場合,貢献トピックの開始/終了発話位置,種類のラベラー間一致度は,9割以上,基盤化アクトの種類,基盤化状態の一致度は8割以上と高かったが,会話の中で,複数の貢献が並行して進んだりする場合,下位階層のトピックの開始/終了位置,種類の一致度が5割程度に低下する場合もあった.特に,会話の中での確認のフェーズを,下位のサブネットワークの貢献とするか,同じ貢献内の連鎖と捉えるかに差が見られた.また,その構造に依存して,基盤化アクトのラベル一致度も低下したが,最下層の基盤化過程はトピックの種類自体にはある程度非依存であるため,どこで一つの基盤化が終了しているかの判断に大きなズレは見られなかった. 2) モデルの再定式化とシステム実装のための検討 ユーザとガイドの基盤化過程を対話システムのモデルとして実装するために,研究代表者の所属で開発を進めているWFSTに基づく対話制御を構築するためのツールを利用する.現状の観光案内対話制御WFSTは,貢献トピックにおけるOpeningとClosingを除き,案内中はほぼ同一状態への自己遷移として実現されている.今年度は,この状態をユーザとガイド(システム)の基盤化状態として拡張するための検討(平行する貢献に対する基盤化過程を含む)を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラベル一致度の確認や,ラベル設計の再検討等は行ったものの,システム実装のための基盤化過程のモデル化において,併進する貢献トピックのモデル表現について検討が不十分であった.
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今後の研究の推進方策 |
H25年度の結果を受けて,1)ラベルの再設計とデータへの反映,2)WFSTに基づく対話制御への基盤化過程の実装のための状態遷移設計,3) 基盤化を伴う対話デモシステムの検討と構築を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
費目間の使用額変更はあったものの,ほぼ計画通り支出していたが,物品の見積もり差額や,予定していた会議への出張費清算時の差額が生じたため. 当該未使用額は,成果とりまとめのための諸経費として支出を行う予定である.
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