中国東南地域の諸方言におけるヴォイスに関わる構文間に形成される様々なネットワークの在り方を詳細に記述するために、『東南方言比較文法研究』(2002年、好文出版)の枠組みに基づいて、客家語と粤語のデータを収集し、方言類型論の観点から分析を行った。 また、認知言語学的な観点から中国語の受動文、受益文、使役文、処置文において認知の主体である話者がどのように言語化されるかを考察した。その結果、中国語は話者を言語化していく傾向が強く、客観的事態把握を好む傾向が明らかとなった。従来の研究が個別に取り上げてきた現象に、主観性という観点を導入することによって、統一的説明を与えることが可能となった。
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