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2012 年度 実施状況報告書

外国人患者と日本人医療者間の医療コミュニケーション適切化のための社会言語学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520454
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

辛 昭静  東京大学, 大学院情報学環, 研究員 (40597192)

研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード外国人支援 / 異文化コミュニケーション / コミュニケーションスタイル
研究概要

●24年度の研究成果
【研究の内容】医療面接場面において、患者と医師が謝罪表現をどのように認識しているかを分析した。具体的には、患者と医師に対して、深刻度の異なる診療場面における謝罪表現「申し訳ない」に対する認識を調査した。得られた回答を統計的に分析することにより、患者と医師の持つ謝罪に対する認識の違い、その基底にある要因を明らかにした。
【結論】診療場面における謝罪表現に対する患者と医師の評価を分析した結果、医師は患者よりも謝罪の影響を過大に(深刻度が低い場合は良い方向に、深刻度が高い場合は悪い方向に)認識していることが示唆された。
【意義】医療コミュニケーション研究においては,患者の満足度を高めることにつながるコミュニケーションのあり方が検討されてきた(Silverman et al.,1998)。本研究の知見は、医師と患者がそれぞれの認識の違いを具体的に理解することに貢献できるものである。謝罪のような難しい場面においても、コミュニケーションを誤解の少ないものにするための手掛かりとなることが期待される。
●今後の研究との関連性
上記の調査は日本人医師と日本人患者を対象に行ったものである。今後は、①日本人医師と韓国人患者、②韓国人医師と韓国人患者を対象に同様の調査を行い、今回の結果との比較を行う。その分析を通して韓国人患者と日本人医療者の診療場面における効果的なコミュニケーションスタイルを提案する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は「外国人患者と日本人医療者が信頼関係・協力関係を築き、安全で信頼できる患者参加型医療が実践できる環境作りのために、外国人患者が日本人医療者とのコミュニケーション場面でどういう困難に遭遇しているか、調査により問題の実態を明らかにすること」である。
そのため、まず予備調査として、日本在住の韓国人20人を対象に「日本の病院を利用する際に感じたこと、特に気になることを中心とした質問紙調査を行い、その後、フォローアップ・インタビューを行った。その結果、①日本語能力の高い外国人(韓国人)は、日本人医療者とのコミュニケーション(症状や病歴などの説明)においてさほど困難を感じていないことがわかった。②しかし、日本人医療者のコミュニケーションスタイルのうち、丁寧語を使わない、すなわち、タメ口の使用には戸惑いを感じる、という意見が多数の人から寄せられた。この結果を踏まえて、診療時の医師のタメ口に対する印象を調べる質問紙を作成した。今後、調査会社に依頼して、①日本人、②日本在住の韓国人、③韓国在住の韓国人を対象としたインターネット調査を行うつもりである。
以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると評価できる。

今後の研究の推進方策

①4月迄:【医師のタメ口に対する医師・患者の印象】を調べる質問紙調査をインターネット調査会社に依頼し、調査を実施する。
②8月迄:調査結果の分析を行い、学会で発表する。
③9月迄:【患者のタメ口に対する医師・患者の印象】を調べる質問紙調査をインターネット調査会社に依頼し、調査を実施する。
④12月迄:調査結果の分析を行い、学会で発表する。
⑤3月迄:上記の結果を論文としてまとめて投稿する。

次年度の研究費の使用計画

1.予算の総額:本年度の繰り越し分(110万円)+次年度の予算(150万円)=260万円
2.予算執行の内訳
①調査:国内調査(2回) 70万円   国外調査(2回) 100万円
②出張:国内出張(2回) 10万円   国外出張(2回) 20万円
③機器:PC(1台) 30万円
④人件費:データ入力等 30万円

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公開日: 2014-07-24  

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