『羣經音辨』第一巻~第五巻と『羣經音辨』第六巻に重出する文字について,その記述を比較することにより,第一巻~第五巻の辨字同音異はいわば『經典釋文』注音法の解説のようなものになっているが,卷六は多音字の形態論的分析のようなものになっていることを明らかにした。次いで,『羣經音辨』巻六所載の字について、字ごとに,その記述が『經典釋文』の注音状況とどの程度合致しているのか,調査した結果,『經典釋文』とは合致しない部分が少なくなく,多音字の音義關係を系統的、體系的なものとして記述すべく,『釋文』の反切について時に牽強附會といわざるをえないような解釋をすることもあることが明らかになった。
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