研究課題/領域番号 |
24520461
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
重松 由美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 研究員 (80447846)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 社会言語学 / トランスナショナリティ / 日本語教育 / 在日ブラジル人 / ブラジル人帰国生 |
研究概要 |
平成24年度の業績は以下の5点である。 1.日本ラテンアメリカ学会にて発表『在日ブラジル人高校生と大学生の言語運用と言語意識』(6月3日、中部大学にて):平成23年度から続けている在日ブラジル人高校生と大学生へのインタビューとアンケートの調査結果について発表した。 2.ブラジル(サンパウロ、ブラジリア)での調査(8月16日~9月1日):ブラジル人帰国生へのインタビューを行った。今回は、日本語教師に就いた帰国生を中心に調査を行ったため、ブラジルの日本語教育の現状についても現地の研究者たちと情報交換した。 3.日本ポルトガル・ブラジル学会にて発表『ブラジル人帰国生の現状-滞日経験を生かし日本語教師に就いた例』(10月20日、天理大学にて):ブラジルでの調査結果を報告した。 4.「多文化共生推進協議会においてブラジル連邦共和国から受け入れた研修生の活動報告会」(12月4日、JICA中部にて):2012年からサンパウロ州立学校に通う帰国生の聞き取り調査を行っているサンパウロ州立大学大学院心理学科のチームが、日本のデカセギの実態調査を行った際に、その報告会にてファシリテーターを務めた。 5.講演会開催「在日外国人の現状―大学ができることは・・・―」(3月30日、名古屋大学にて):東海圏のブラジル人コミュニティとペルー人コミュニティで活動するNPOの代表者を講師に招いた。支援活動の紹介とともに、地域社会における多文化共生の実現に大学の研究者ができること、また期待されていることについて討論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は、若年層の在日ブラジル人とブラジル人帰国生が社会に適応していくに従い変容させていくアイデンティティを、言語使用の側面から分析することを目的としている。そのために、日本とブラジルで現地調査を行い、その分析結果を2つの学会で発表した。また、近年大学に入学する在日ブラジル人が増えてきており、彼らの中から同じ境遇で苦しんでいる子どもたちを支援するためにNPOを立ち上げ活動しているものを出てきている現状を踏まえ、彼らの活動を紹介するために講演会を開催した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度と同様に、アイデンティティを規定する「ことば」の役割に関する調査とともに、在日ブラジル人とブラジル人帰国生による自助組織の活動についても調査を進めていく。また、ブラジルにおける帰国生への支援が始まったことから、その実態調査と日本の自助組織との連携の可能性についての注目していく。具体的には、アンケートとインタビュー方式による現地調査と、在日ブラジル人とブラジル人帰国生による自助活動の実態調査、そして調査結果を学会等で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
アンケート調査と音声資料のデータ化の作業が手間どり、そのための人件費が予定よりも少なくなった。25年度では、作業の効率化を図り、雇用人数を増やす。
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