研究課題/領域番号 |
24520461
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
重松 由美 名古屋大学, 国際言語文化研究科, 研究員 (80447846)
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キーワード | 社会言語学 / 在日ブラジル人 / ブラジル人帰国生 / トランスナショナリティ |
研究概要 |
1.ブラジル(サンパウロ市、ロンドリーナ、クリチバ)での調査(8月16日から29日):平成24年度にインタビューした帰国生の日本語教師の追跡調査、ロンドリーナ州立大学およびサンパウロ州立大学にて帰国生にインタビュー調査、ニッケイ新聞やデカセギブラジル協会にて帰国生の現状についての意見交換 2.日本ラテンアメリカ学会中部日本支部にて研究発表(12月7日、名古屋大学にて)『ブラジル人帰国生の現状-ブラジルでの日本文化との係わりについて』:ブラジルでの調査を基に、帰国生の日本滞在時の経験の活用・影響について報告、特に日本文化との係わりと言語使用についての考察を発表 3.日本ポルトガル・ブラジル学会誌Anais23に『ブラジル人帰国生のための支援とは -滞日経験を生かし日本語教師になる場合-』を発表:平成24年度のブラジルでの調査結果を論文として発表 4講演録「外国人支援のこれからー多様な若者が輝ける社会をめざして」を発表:平成24年度に講演会「在日外国人の現状‐大学ができることとは」を共同開催した基盤研究C課題番号22520559「スペイン語・ポルトガル語近親言語文化圏の外国語教育と相互理解の諸相」(代表・水戸博之)が作成した講演録に発表 5.「ブラジル・ポルトガル語を話そう!」(朝日出版社)を出版:在日ブラジル人の現状を発信するためのツールとして、日本人のためのポルトガル語教材を作成
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、若年層の在日ブラジル人とブラジル人帰国生が社会に適応していく過程において変容していくアイデンティティを、言語使用と言語意識の側面から分析することを目的としている。そのため、日本とブラジル両国での現地調査を行い、その分析発表と論文発表を行った。また、日本人のためのポルトガル語の教科書作成は、日本人のポルトガル語学習者だけでなく、近年増えている母語であるポルトガル語を話せないブラジル人の子供の母語教育の教材としても活用することができる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、アイデンティティを規定する「ことば」の役割に関する調査を継続するとともに、アイデンティティの変容過程における「ことば」の役割の変化に注目し、平成23年度に調査した在日ブラジル人高校生と大学生と、平成24年度に調査したブラジル人帰国生の日本語教師の追跡調査をおこなう。また、近年在日ブラジル人同士の、そして帰国生同士のつながりで重要な役割を果たすソーシャル・ネットワークでの活動についても、当事者にインタビューとアンケートを行う予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
音声データの分析が計画通りに進まず、そのため人件費が予定よりも少なくなった。 アンケートの回収とデータ分析のための雇用人数を増やす。
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