研究課題/領域番号 |
24520467
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
栗林 裕 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (30243447)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 国際研究者交流 / イラン / トルコ / ハラジ語 / チュルク諸語 / トルコ語 / 言語接触 / 言語類型論 |
研究概要 |
研究の概要 本研究はイランのチュルク語系の極小言語であるハラジ語の音韻および文法について調査を行うことにより、言語記述とその理論的な意味合いについての分析を行い、この言語の実態を明らかにすることを目的としている。 研究の意義と重要性 ハラジ語はイランのテヘラン南部の山岳地帯で話されている言語であるが、すでに若年層は公用語であるぺルシア語にシフトしており、話者は中高年層の一部に過ぎない。この言語の特筆すべき点は、系統的に周辺のチュルク語南西グループに属しておらず、チュルク語の古い形式を保持しているといわれていることである。このことは、言語史や言語接触の観点から非常に注目されており、現状の調査と分析が急務である。本研究は、海外研究協力者との共同作業や文献資料の蒐集と分析により遂行される。 本年度は主に、イランにおける現地調査により、ハラジ語の基礎語彙項目について母語話者の音声資料の蒐集を行なった。またロシアのサンクトぺテルブルにおいて関連文献の蒐集を実施し、トルコで開催された国際学会において現時点での研究成果の発表を行った。本年度の具体的な研究内容は以下の通りである。1、調査項目の作成 4月~8月 2、研究協力者との研究打ち合わせ 9月 3、イラン・テヘランでの現地調査 9月 4、第16回トルコ言語学国際会議での成果の発表 9月 5、調査資料の整理と分析 9~10月 6、研究論文の作成 1月~2月
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の研究実施計画として以下のような項目を年初に掲げた。 1、ハラジ語の音声や文法を含む体系的な言語記述 2、形態的言語変容の解明 3、言語接触理論や文法理論に対する新しい言語データの提供 4、ハラジ語の将来への展望 5、研究成果の迅速な公開と社会的還元 このうち、全体的な考察が必要となる項目4を除いて計画通りにすべての項目に着手することが出来た。また、当初予定していたドイツ・べルリン国立図書館での資料収集はロシア・サンクトペテルブルク国立図書館での調査に変更することにより遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画として掲げていた項目4の「ハラジ語の将来への展望」に関しては、全調査が終了後に全体像が明らかになるため、最終年度に着手する予定である。また、項目5の「研究成果の迅速な公開と社会的還元」に関しては、インターネットによるメディア配信を予定しているが、サーバー等の確保など費用的な問題点を解決する必要がある。さらに、現地調査に関して今年度は計画通りに実施することが出来たが、査証の発給状況が流動的であり、現地調査で母語話者の調査が出来ないことに備えて、文献調査によりそれを補うことも研究遂行の方策の一つとして視野に入れている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は形態法と統語法についての調査を主に行なう。 1、平成24年度に得られた資料に基づき論文を執筆 平成25年4月~7月 2、第5回チュルク学国際会議(開催地:トルコ イスタンブル大学)での研究成果の発表 平成25年9月 3、イラン・テヘラン南部にて約2週間の現地調査 平成25年12月 4、フランス国立図書館(La Bibliotheque nationale de France)での資料収集 平成26年2月 5、トルコの国際学術雑誌(Bilig)への研究成果の投稿 平成26年2月 6、平成25年度の調査結果およびハラジ語の概要についてインターネットへの公開 平成26年3月
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