本研究では,まず,日露語のパラレルコーパスを作成した。パラレルコーパスとは,複数言語間で意味内容がほぼ等しいと考えられる文について対応関係が付いている対訳コーパスである。日本語からロシア語に翻訳された短編小説7作品,ロシア語から日本語に翻訳された短編小説2作品を電子化した。 次に,コーパスを資料として,日本語とロシア語の人為的事態を表す表現について,同一場面での構文の選択という観点から分析した。また,上級日本語学習者に当該表現の使用意識調査を行った。それらの結果をもとに,客観世界に対する事態認識の差異について考察し,日本語はロシア語に比べて事態を主観的に把握する傾向にあることを明らかにした。
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