研究課題/領域番号 |
24520473
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
武藤 彩加 琉球大学, 留学生センター, 准教授 (00412809)
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研究分担者 |
副島 健作 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (60347135)
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キーワード | 言語相対性仮説 / 味を表す表現 / 認知主体 / 普遍性 / 個別性 / 味覚 / テクスチャー / 基本色彩語 |
研究概要 |
この研究では、複数の言語における「味を表す表現」を収集し言語間で比較することによりそこに現れる普遍性と多様性を明らかにする。日本語については調査を実施し、結果の一部を発表している。なおスウェーデン語についても母語話者を対象に調査を行った。これらの結果を受け、分析する際の基準(フレーム)を完成させた。研究調査について、これまでの概要を以下に記す。 【平成24年度】1.韓国語の食品CMに関する調査(1)韓国のテレビコマーシャルにおける味表現の収集と分析。・韓国でテレビコマーシャルを録画し食品のCMのみを抜き出した。録画時間は12時間。・すべての内容を文字化しコーパスを作成した。・対象となっている商品について表を作成した。・味表現すべてを選び出し、異なり語数と延べ語数をまとめた。(2)韓国語母語話者60名(於、啓明大学)を対象とする「味表現」使用状況の意識に関するアンケート調査の実施。日本語の味表現221種に対応した形で作成した150の食品リストをもとに、インフォーマント一名につき50食品について、その食品の味を表現するのにどのような味表現が可能であるのかを自由に書いてもらった。2.調査結果の分析(1)テレビコマーシャルに関する調査結果から次の項目をまとめその特徴を分析した。・対象商品一覧、使用された味表現の使用回数、主な使用用語(2)韓国語母語話者に対するアンケートの調査結果から収集した用例を整理・分類し、韓国語の味表現の特徴を明らかにした。 【平成25年度】韓国語と同様の手順で英語についても調査を行った。 (1)英語のテレビコマーシャルにおける味表現の収集と分析。(2)英語母語話者50名(於、ハワイ大学)を対象とする「味表現」使用状況の意識に関するアンケート調査を実施した。(3)収集した用例を瀬戸(2003)の分類表により整理・分類し、英語の味表現の特徴(分 布や偏りなど)を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スウェーデン語、韓国語、英語の3言語については、母語話者への調査を予定通り実施することができた。このうち、スウェーデン語と韓国語については、国内外の学会での口頭発表を経て、国内外の査読付き学会誌に研究論文として発表済みである。また英語については、25年度に無事調査を終え、分析を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後もさらに複数の言語を比較することにより、そこに現れる普遍性(生理学的普遍性)と個別性(文化による相違)を明らかにする。なお、平成26年度はロシア語、そして平成27年度は中国語について調査を実施する予定である。 またこれまでの調査では、瀬戸(2003)の分類表のどのカテゴリにも分類できない例が認められたことから、味表現の分類カテゴリは言語毎に違う可能性がある。この点についても追求し、どの言語にも応用し得る味ことば分類表を完成させる。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費の使用が当初の予定より少なかった。例えば、ノートパソコンを購入する必要がなくなった等。 旅費や謝金に多くの執行が見込まれる。例えば、研究成果の発表や、これまでの調査でたまってきているデータの整理に関する雇用等。
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