研究課題/領域番号 |
24520474
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
包 聯群 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 客員研究員 (40455861)
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研究分担者 |
風間 伸次郎 東京外国語大学, 総合国際学研究院, 教授 (50243374)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 危機言語 / 言語接触 / 言語政策 / 満洲語 / 三家子村 / 言語継承 / 継承言語 / 少数言語 |
研究概要 |
平成24年度に、中国黒龍江省富裕県の三家子村を対象とした研究資料、危機言語に関連する資料(特に英語で書かれたもの)の収集を行った。 研究分担者と共に現地調査を実施し、基本語彙、文法事項及び物語などを中心にしたデータの収集を行った。今まで6人のインフォーマントからデータを収集することができた。そして、2012年5月25日―27日に、長崎外国語大学で開催された「満族歴史研究会第27回大会」にて、「中国黒龍江省富裕県における満洲語の現状と課題」というテーマで口頭発表を行った。資料の初期段階の分析において、東北地域のモンゴル人コミュニティー言語と類似する言語特徴が現れていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は24年度から実施された研究として、当該年度の目的に達することができたと言える。危機言語に関連する資料をある程度まで収集し、現地調査によって言語データを記録することができた。異なるインフォーマントから得られた言語データにはそれぞれの特徴があり、若ければ若いほど中国語の影響を強く受けていることがわかった。社会言語学的にみると、消滅に瀕している言語として異なる世代、異なる話者において語彙的にも自らの特徴があることがわかった。それは消滅に瀕する言語の話者間において、当言語によるコミュニケーションが頻繁に行われていないことの証拠でもあり、危機に瀕している言語が持つ共通の特徴でもあると言える。 言語資料を分析することによって、満洲語と中国語の二言語によって構成されたバイリンガル動詞があることが確認された。中国語からも多数の文法語を借用していることがわかった。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、黒龍江省富裕県を中心とし、現地と緊密に連絡を取り、満洲語の学校教育状況を考察し、言語継承の実態を把握する。その際、現地の民族委員会の許可を得て、小学校・中学校で満洲語がどの程度まで教えられているかを把握し、言語習得のプロセスを記録し、観察する。さらに満洲語に関する資料収集を行い、現地で使える満洲語の会話本を作る試みをし、三家子村以外の地域における満洲語の使用実態を調査する予定もある。インタビュー調査票を作成し、言語意識調査を行い、言語継承の実態を把握する。研究者間の情報交換を推進するため、危機言語に関する国際ワークショップの開催を企画中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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