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2013 年度 実施状況報告書

日本手話の文法関係表示について

研究課題

研究課題/領域番号 24520487
研究機関神戸市立工業高等専門学校

研究代表者

今里 典子  神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (90259903)

キーワード日本手話(JSL) / 文法関係標示 / 助動詞 / 移動構文 / 文法化 / 虚構移動 / 視覚動詞
研究概要

日本手話(JSL)の西日本方言において、主語/目的語の文法関係を標示する助動詞AUX1とAUX2が存在するが、まずこれらと(1)共起可能な動詞群の特徴を特定した。共起する動詞は必ず、①非一致動詞であり、かつ、②人間である目的語をとる他動詞である必要がある。さらに③多くの動詞が、目的語である対象を見た結果、好悪や未・既知等の判断をする意味を持つ傾向があるという特徴を明らかにした。またAUX1とAUX2では共起する動詞の種類には大きな差は見られないことも観察した。さらに(2)動詞「見る」が文法化のプロセスを経て、AUX2、さらにAUX1が成立したという仮説を提案し、音韻及び意味の変化の分析からその妥当性を検証した。そして同じ語族に属するJSL(西日本方言、東日本方言)のみならず、台湾手話におけるAUXも同様の説明が可能である可能性を示唆した。
一方JSL等と語族が異なるオランダ手話(Bos, 1994)などにも、このAUX1, AUX2は存在していることが知られており、そのAUXが移動表現と関連しているという指摘がある。またJSLの東日本方言のAUX1についての研究でも、AUX1は「移動の経路」に関係しているという指摘(Fischer,1996)がなされている。今後はAUXが動詞「見る」から文法化のプロセスにより成立した事をふまえ、移動構文との関係に着目し、既に収集してある移動構文のデータの中から「見る」を含むデータを中心に分析し、この文法標示成立の認知的背景について明らかにしていく必要がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り、助動詞と共起する動詞の統語的意味的特徴を特定し、さらに助動詞の成立に関わる仮説の提案と検証も行なえた。

今後の研究の推進方策

JSL以外で同様の助動詞表現をもつ世界の手話表現との比較から、仮説の妥当性の検証を継続する。先行研究で指摘されている、AUXと移動構文の関係については更なる探求が必要である。AUX1, AUX2がJSLの動詞「見る」から成立したことから、この動詞についても詳細な記述と分析を行った上で、が移動表現とどのように関連するのかを明らかにして行く必要がある。すでに収集したデータに加えて、新しくサイナーからのデータを集めて分析を行う。

次年度の研究費の使用計画

初年度の未使用額が当該年度の予算として計算されていなかった為残額が発生している。この学徒翌年度分として請求する助成金とをあわせた額で次年度は使用する。
現在までのデータを整理しまとめるためパソコンと必要なソフトなど周辺の一式を揃える。またデータ整理作業には、入力担当者とコンサルタントの協力が必要なので、その謝金、さらに手話データ収集の為の場所借上費用や旅費等も計上する。また随時必要な書籍等も購入の予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] Crosslinguistic tendencies in the intralinguistic variations of motion descriptions: An experimental study of manner, path, & deixis

    • 著者名/発表者名
      Yo Matsumoto
    • 学会等名
      12th International Cognitive Linguistics Conference
    • 発表場所
      University of Alberta in Edmonton, (Alberta, Canada)

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公開日: 2015-05-28  

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