研究課題/領域番号 |
24520489
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
森 若葉 国士舘大学, 付置研究所(イラク古代文化研究所), 共同研究員 (80419457)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 楔形文字 / 粘土版 / エラム語 / 原エラム文字 / マルヤン遺跡 |
研究概要 |
イランに所蔵されている未公刊楔形文字資料について、整理分類を行い、欧文で研究出版を行うことを目的にしている。調査する資料は、写真撮影、3Dデジタルデータ化を行い、翻字、翻訳、注釈を付した文献研究とあわせて最終年度までに出版する予定である。 京都大学とイラン国立博物館の間で結ばれたMOUに基づき、イランで出土した楔形文字資料の調査を開始した。初年度である本年度は、研究実施計画に記したように、遺跡調査、資料の分類、写真撮影を中心に行った。 7月27日~8月13日のあいだ、イランに滞在し、テヘランのイラン国立博物館において、資料の整理および、写真撮影を行った。また、連携研究者の寺村、研究協力者の渡邊とともに3Dデジタルデータ化のためのスキャニング作業を行った。 12月24日~31日まで、イランのフゼスタン地域を訪れ、その地域にある楔形文字資料が出土する遺跡(スサ、チョガザンビル、ハフト・タペ等)、および博物館(ハフト・タペ博物館、スサ博物館)を訪問し、楔形文字レンガ資料の調査を行った。 現在、未出版のマルヤン出土楔形文字資料(エラム語、アッカド語)を中心に日本で文書の解析作業を行っている。また寺村と渡邊がスキャンデータ処理(原エラム文字資料、エラム文字資料)をすすめ、3Dモデル化公開の準備を行っている。 これらのその調査について、第44回シュメール研究会および『西南アジア研究』第76号において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に調査を行った100点ほどの資料については、その分類・照合作業はほぼ完了し、写真撮影およびスキャニング作業も順調に進んでいる。 それらのデータをもとに日本での翻字、翻訳作業を進めているところである。
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今後の研究の推進方策 |
イランの博物館において、調査を継続し、未公刊文書のうち、未分類のものについて、博物館の台帳と照合、言語や内容のジャンル別に分類し、それぞれの文書について実測を行い、その状態、材質(多くは粘土であるが、一部、石や金属、骨などが含まれる可能性がある)や印影の有無等の確認する。資料の状態に応じ、3Dスキャナーによるスキャニング、デジタルカメラでの写真撮影、手写コピーをすすめる。また資料が出土した遺跡を実際に訪れ、発掘報告書の記述との照合を行う。 以上の調査データをもとに日本において翻字、翻訳、注釈をつける作業をすすめ、出版準備を整える。 昨年度 共同で研究を行っているイラン人研究者の招聘を計画していたが、先方とのスケジュール調整の結果、来年度に招聘を延期することになった。
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次年度の研究費の使用計画 |
8月に3週間程度イランの博物館での資料調査および遺跡調査を行い、必要があればさらに冬期もしくは春に再度補足の調査費用を行うため、その旅費の支出が研究費の多くを占める。 また、出版準備のために必要な写真やスキャニングデータの処理の一部の外部委託費、調査に必要なコンピュータ機器、書籍の購入にもあてる予定である。
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