研究課題/領域番号 |
24520489
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
森 若葉 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 共同研究員 (80419457)
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キーワード | 楔形文字 / イラン / 粘土板 / マルヤン / エラム語 / 3Dモデル / エラム / アンシャン |
研究概要 |
本研究は、イランが所蔵する未公刊の楔形文字資料の研究出版を目的としている。資料は写真で出版するほか3Dモデルでもあわせて発表の予定である。資料内容については、文献研究(粘土板文書を読解・翻字し、言語学的・文献学的注釈を付ける)を行う予定にしている。この資料群は、楔形文字研究にとって重要な資料群であるにもかかわらず、近年の政治情勢およびイラン国内の研究状況から研究が進んでいないものであった。 昨年度主として研究にとりくんだマルヤン出土資料は、これまで未出版の資料である。メソポタミア文明のイラン地域の中心地の1つであったアンシャンの資料である。資料の大半がエラム語であり、ほかにシュメール語、アッカド語、原エラム文字資料が含まれる。原エラム文字資料は未解読のため、写真および3Dモデルのみの出版を予定している。現在、エラム語資料を中心に日本で文書の解析をすすめており、撮影した写真資料について出版にむけてデータ処理を行っている。研究協力者の寺村氏の指導のもと3Dモデル作成のためのデータ処理(原エラム文字資料、エラム文字資料)をあわせておこなっている。 12月24日~31日まで、イランのテヘランを訪れ、マルヤン出土の楔形文字粘土板およびスサ出土レンガ資料等の調査を行ったほか、イラン国立博物館の新館長および研究協力者のピラン氏と今後の調査について意見交換をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年はイランの大統領選による博物館内の人事異動のため、当初予定していた、イランへの夏の渡航が調査先の都合でキャンセルとなった。かわりに12月に旅程を短縮してテヘランで調査をおこなった。イランでの調査期間は短くなったが、日本においてデータ処理、および研究をすすめることができた。ただ、調査がずれこんだことから、昨年は成果発表の機会を逸してしまい、交付申請書で予定していた成果発表が少しずれこんでいる。しかしながら、そのぶん今年度は、国際シンポジウムにすでにエントリーしているほか、国内で日本語での研究発表もおこなう予定であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度で、イランでの調査はほぼ終了しており、現在は出版にむけて日本での作業をすすめている。現地への渡航は出版にむけて確認作業を行う短期調査だけになる予定である。成果発表については、12月にイランの楔形文字研究にかんする国際シンポジウムで発表をおこなうほか、国内で日本語での研究発表もおこなう予定である。さらには最終年度にあたる来年度末の成果出版に向けて、イラン等から研究協力者を招き、日本において意見交換をおこなう予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年はイランの大統領選の影響で、当初イラン側と計画していた、夏の調査が直前でキャンセルとなった。かわりに旅程を短縮して12月にテヘランで調査を行ったが、イラン滞在期間が短くなったため、資料の確認の一部と、現地研究者との研究打ち合わせが次年度に持ち越しとなった。 現地での資料調査はほぼ予定通り終了したが、イラン側の研究協力者と資料にについて研究打ち合わせをする時間がとれなかった。かわりに今年度イランから研究協力者を招聘し、日本において打ち合わせをおこなう費用にあてる予定である。
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