研究課題/領域番号 |
24520490
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工 |
研究代表者 |
河内 一博 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工, その他部局等, 准教授 (00530891)
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キーワード | 言語学 / 言語類型論 / 記述言語学 / 形態論 / 統語論 / 意味論 / アフリカ言語学 / 空間移動表現 |
研究概要 |
Croft et al. (2010) の主張に反し、Kupsapiny語では、移動の様態のタイプというよりも主に経路の複雑さにより、構文パターンが異なってくることを示す論文を国際認知言語学会で発表し、Patterns of Expressing Motion Events in Kupsapiny.という論文を、Studies in Nilotic Linguistics Vol. 8に出版した。さらに、ビデオのシーンの口述データでは、個々の移動の様態により使われる構文パターンの頻度に違いが出てくることを、NINJAL Typology Festa で発表した。 他にも、日本言語学会シンポジウムで「アフリカの言語地域と言語地域としてのアフリカ」について、日本フランス語学会シンポジウムでフィールド言語類型論学者としての認知言語学研究についての講演を行った。Kupsapiny語の数と所有、および譲渡不可能性に関する発表をNilo-Saharan Linguistics ColloquiumとAssociation for Linguistic Typologyの学会で発表し、移動表現の研究者やアフリカの言語の研究者との交流を深めた。Sidaama 語の所有者が与格である外的所有者構文, Sidaama 語の人魚構文、Sidaama 語の節連結と五段階、Kupsapiny 語の節連結と五段階についての論文も出版した。 平成25年7月11日~8月13日にエチオピアのシダーマ・ゾーンで、平成26年3月13日~4月13日にウガンダのカプチョーワで、フィールドワークを行ない、データを集めた。 以上の研究の成果は、深い研究が十分になされていない言語の現象を理論的に中立な立場から記述し、個別言語の研究を超えて言語類型的な問題に取り組み、この研究分野に貢献しているという点で価値がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Sidaama語とKupsapiny語の文法現象の理論的問題に取り組む論文の発表を行った。2回のフィールドワークで多くのデータを取ることができ、発表の準備と論文の執筆の過程でデータをまとめ、これらの言語の文法構造の理解をさらに深めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今まで通り、Sidaama語のフィールドワークをエチオピアのシダーマ・ゾーンで、Kupsapiny語のフィールドワークをウガンダのカプチョーワで行い、データをもとにして文法現象の理論的問題を扱う論文を書き、できる限り国際的な場で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
実際には執行額以上に研究に費用がかかっているが、単価が残額の288円以下の物品や謝金等で支出するべき項目が見つからなかった。 Sidaama語のフィールドワーク(平成26年7月~8月)の旅費、Kupsapiny語のフィールドワーク(平成27年2月~3月)の旅費、フィールドワークでのインフォーマントへの謝金、学会発表の旅費、論文の英文校閲の謝金に使用する。
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