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2013 年度 実施状況報告書

方言調査法の方法論的検討-方言調査データの信頼性の測定-

研究課題

研究課題/領域番号 24520492
研究機関福島大学

研究代表者

半沢 康  福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10254822)

研究分担者 武田 拓  仙台高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20290695)
キーワード宮城県方言 / 福島県方言 / 計量分析
研究概要

本研究の目的は以下の2点である。①方言調査におけるさまざまな調査法を用いた場合,それぞれの調査データがどの程度安定するのかという点を定量的に明らかにし,各調査法の信頼性を表す指標(信頼性係数)を求める。②各調査法によってこれまでに収集した方
言調査データ(言語変化の解明を目的とする社会言語学的多人数調査データ)の再分析を行なう。①で得られた信頼性係数を活用し,従来の分析では分離が不可能であった「調査誤差」の影響を取り除いた「真の言語変化による変動」を析出する。標記目的を達成するため,25年度は以下の研究活動を行なった。
[1]面接質問法による調査:面接調査法の信頼性係数を求めるために,同一のインフォーマントに対して,同一の方法による実験的調査を複数回実施し,その結果の安定性を把握する。25年度は,昨年度宮城県伊具地方において実施した言語地理学的調査のインフォーマントを対象に第2回目の調査を実施し,2回の調査結果の安定性を検討した。結果の一部は国語研究所プロジェクト公開研究発表会において報告している。本調査のマネージメントは24年度に引き続き宮城県在住の研究分担者が担当した。現在本調査の報告書を作成中である。また25年度はあらたに福島県田村郡小野町において多人数調査を実施した。次年度第2回目の調査を実施し,社会言語学的多人数調査データの信頼性を検討する。
[2]自記式調査法による調査:自記式調査法についても,[1]と同様,同一インフォーマントへ対して同一の調査票を用いた2回の実験的調査を実施し,信頼性検討のためのデータセットを得た。本調査については現在分析を行っている。
[3]インタビュー法による調査:インタビュー法調査についても同様の調査を実施する。25年度も昨年度に引き続き,福島県内各地でインタビュー法による自由談話収集を行なった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の実施を予定していた[1]面接調査法による調査(伊具郡第2次調査,田村郡第1次調査) ,[2]自記式調査法による実験的調査,[3]インタビュー法による談話調査とも,いずれも計画通り実施できている。分析作業についても結果を公開研究会等で報告し,また報告書作成に取りかかるなど,予定通り進行している。
以上より,研究は順調に進捗していると判断できる。

今後の研究の推進方策

研究の最終年度である26年度は以下の調査を実施するとともに,これまで得たデータセットの分析を進め,方言調査法の信頼性を検討する。結果は報告書および学術論文として発表する。
①面接質問法による再調査:25年度に福島県田村地方において新たに実施した多人数面接調査のインフォーマントを対象に再調査を行い,相互の結果を比較する。1年間の調査間隔をあけることで第1次調査に対するインフォーマントの記憶が薄れ,その影響を排除できる。一方1年程度であれば言語変化が格段に進行するとは考えられず,経年変化の可能性も無視できるので2回の調査結果の異なりを「調査法に起因する誤差」とみなすことができる。25,26年度の調査で得られた2回分のデータセットをもとに相互の異同を比較・検討し,面接質問法の信頼性を推定する。
②インタビュー法による調査:25年度までの調査を踏まえ,引き続き実験的調査を実施する。調査のマネージメントは研究代表者が行なう。
③自記式質問紙法による調査:引き続き勤務校等の協力を得て随時実施する。
なお本研究は2010年度科研費に採択され,南相馬市小高区および伊達郡川俣町山木屋地区において調査を開始していたが,その後発生した東京電力原発事故の影響で調査継続が困難となったため「東日本大震災の影響を受けた研究代表者の重複応募制限の特例」を利用して2012年度科研費に応募,採択されたものである。すでに調査に着手していた小高区,山木屋地区での調査再開についても検討していたが,本研究期間内の避難区域指定解除は難しい状況にあり,当該地域での調査再開は断念せざるを得ないと考えている。

次年度の研究費の使用計画

25年度の調査については,その費用の一部に研究代表者の基盤研究費等を活用できたことに加え,当初計画していた奥会津地方での調査を,現地の事情等を勘案して福島県中通り地方へ変更したことにより,算定していた旅費を節約することが可能であった。また,26年度に調査報告書を刊行するほか,小野町多人数調査の第2次調査を実施することを見越し,費用を一定留保した。
既述の通り,26年度は福島県田村郡での多人数第2次調査,中通り各地でのインタビュー調査を予定している。研究代表者,分担者,研究協力者および調査員を委嘱する学生の調査旅費が必要となる。他に研究代表者,分担者,協力者の学会出張旅費(情報収集および学会発表),研究報告会参加旅費等を支出する予定である。物品費については,調査で使用する録音メディア(MicroSDカード),乾電池,調査謝礼品などを購入する。
また伊具郡調査,田村郡調査を中心とした研究成果報告書の刊行を計画している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 避難生活(震災原発等)による小中学生の日常言語への影響2014

    • 著者名/発表者名
      小林初夫・安倍清哉
    • 雑誌名

      人文

      巻: 12 ページ: 173-225

    • 査読あり
  • [学会発表] 東北地方の方言伝播 ―見かけ時間データを手がかりにして―

    • 著者名/発表者名
      半沢康
    • 学会等名
      「方言の形成過程解明のための全国方言調査」研究発表会
    • 発表場所
      コラッセふくしま

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公開日: 2015-05-28  

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