研究課題/領域番号 |
24520493
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
金田 章宏 千葉大学, 国際教育センター, 教授 (70214476)
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研究分担者 |
小嶋 賀代子(下地賀代子) 沖縄国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40586517)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 日本語学 / 記述文法 / 宮古方言 / 八重山方言 / ベシ / 意志推量 |
研究概要 |
八重山諸方言のうち、本研究の基盤、基礎となった西表祖納方言にくわえて、24年度は、西表干立方言、鳩間島方言、小浜島方言、竹富島方言、それに当初の計画になかった新城島方言について、調査を開始した。新城島方言を追加したのは、石垣市在住の数少ない新城島出身者のお一人を紹介していただけたからである。調査を継続するなかで、調査票の提示文の見直しを数回にわたって行なった。そのため、鳩間島方言、小浜島方言、竹富島方言については複数回、同一話者から聞き取り調査を行なった。これらの島については今年度も調査を継続する。 その結果、祖納方言に隣接する干立方言の話者からは、本研究が調査対象とするベシ系の語形を、推量表現や意志勧誘表現において、祖納方言に見られる使用状況と同程度に確認することができた。その一方で、それ以外の鳩間島方言、小浜島方言、竹富島方言、新城島方言の話者からは、これまでのところまったく確認することができていない。この点は、祖納、干立地区の言語的、歴史的な成立過程などを考察するうえで、きわめて注目すべき点であると考える。 こうした調査結果をもとに、今後の調査としては、祖納方言でみられた以外の用法で、ベシ系語形が存在しないか、例文を増やして調査する必要があるだろう。 八重山諸方言ではまだ、黒島、波照間島、与那国島での調査を開始していないが、今年度は以上のような点も考慮に入れながら、調査を進める必要がある。 宮古諸方言に関しては、事前の簡易調査により、ほぼ全域での使用の確認が期待されるが、24年度は多良間島方言での使用を一部確認できたのみである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
八重山諸方言については予定された12地点のうち5地点、当初の予定になかった新城島方言を含めて計6地点の調査を行なうことができたので、おおよそ予定どおりといえる。一方で宮古諸方言については、研究分担者の本務校の職務上の事情により、調査の実施は1地点にとどまった。 以上は調査予定の24地点のうち、はじめの2年間で8割程度を調査するという、当初の予定を前提にした達成度であるが、調査期間である3年間に単純に割り振ったばあいは年に8地点であるので、初年度7地点の調査実施は想定の範囲内である。 宮古諸方言の調査に遅れが出ている点をカバーするために、25年度は代表者も加わって宮古諸方言の調査を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、研究代表者は残された八重山諸方言の調査予定7地点のうち離島を中心に5地点ていどの調査を実施する。あわせて、宮古諸方言のうち2地点程度の調査を実施したい。研究分担者は宮古諸方言の6地点程度の調査を実施する。 以上の調査結果をもとに、代表者は分担者と年度の後半に検討会を行ない、調査票の妥当性にさらなる検討を加え、追加調査の必要性などを検討する。 最終年度は残された調査地点の調査を実施しながら、対象地域全体におけるベシ由来形の使用状況を明らかにし、その分布状況に検討を加え、報告書にまとめる。 なお、当初は調査の可能性もありうるとしていた奄美諸方言であるが、昨年度の現地における簡易調査の結果、ベシ由来形の存在する可能性はきわめて低いと判断されるので、予定どおり宮古八重山地域での調査とする。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究は琉球宮古八重山諸方言の現地調査を中心とするものであるので、研究費の大半は旅費等への使用を前提にしている。この方針に特段の変更はなく、今後の2年間を通して、調査旅費を中心に研究費を使用する予定である。その際に、できるだけ安価な航空券を利用するよう努力することはいうまでもない。
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