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2013 年度 実施状況報告書

現代方言に基づくアクセント類別語彙の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520505
研究機関神戸市外国語大学

研究代表者

中井 幸比古  神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (10221441)

キーワード類別語彙 / アクセント / 京阪式 / 中央式
研究概要

前年度に引き続き、今年度も京阪式(中央式)諸方言に関する従来のアクセント調査報告から、(1)類別語彙を中心とする少数語彙を扱うもの、(2)辞典形式の多量語彙を含む資料の両者について、資料収集及び整理を進めた。とくに(2)について作業を進展させた。今年度はとくに(2)のうち、方言辞典・方言集に関して考察を進めた。方言辞典・方言集を、(a)資料として問題なく使えるもの、(b)部分的に利用できるもの、(c)利用不能のものの3種に分類し、(a)(b)については各資料のアクセント記号の特徴、正確さ、どの程度まで利用できるのかなどを考察し、類別語彙の抜き出しも進めた。
さらに、方言辞典・方言集はアクセントに関して予備知識がない人が作成することも多いので、一般人がアクセントを記録する際に用いる記号について、インターネット上のQ&Aサイトに見られるものと対照し、以下の事柄を明らかにした。(イ)英語アクセントの記述方式を日本語にそのまま当てはめるものが多いが、これは東京式アクセントにはそれなりにうまく機能するものの、京阪式に関しては無理であること。(ロ)漠然と上がる・下がる・平らとするものも目立つこと。(ハ)音の高低には触れず、問題とする語と同じ型の語をあげることで理解させようとするものも多いこと。そして、上記(b)(c)タイプの方言辞典・方言集の多くも、(イ)またはその影響を受けたと思われる方式を採用していること。
また、記録の正確さについて、一般的日本語な母語話者や外国人日本語学習者のアクセント型知覚に関する諸研究の調査結果との相関関係についても考察した。そして京阪式の場合、高起式の3モーラ目以降に核がある型どうしの知覚が難しい場合があることから、(b)タイプの方言集でもこれらの型の記録が不十分な場合が目立つことを明らかにした。
私自身の調査資料についても若干の整理を行うことができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初計画では25年度には辞典類の整理と、そこから類別語彙を網羅的に抜き出す作業を行う予定であった。これについても若干のデータ整理は進めることができたが、網羅的な語彙の抜き出し作業には至らなかった。また、臨地調査についてもほとんど実施できなかった。これらの点については達成度が低いと言わざるを得ない。
その反面、26年度に予定していた俚言を扱ったアクセント記号付きの方言辞典・方言語彙集からの語彙の抜き出し作業と、方言辞典・方言語彙集のアクセント記号の考察を、前倒しで進めた。方言辞典・方言語彙集のアクセント記号の考察を先行させたのは、機械的な語彙の抜き出し以前に、記号の吟味が必要な資料がいくつかあったためである。その結果、いくつかの方言集のアクセント記述方法について解明することができた。それに付随して、当初の計画とは少し範囲が広がるが、方言辞典・方言集の作成者のみならず、一般人によるアクセント記録の方法やアクセント知覚の問題点についても考察をした。そしてその考察の中に、方言辞典・方言集のアクセント記号を位置付けることができた。ただし、今年度中に研究成果を公開できなかったのは遺憾である。

今後の研究の推進方策

26年度は研究の最終年度であるので、資料整備を完成させることが必須である。また、私自身の調査資料の整理についてもできるだけ作業を進めたい。これらの作業を最優先で行いたい。
さらに、できるだけ早く、完成した資料群をもとに考察を進めないといけないと考えている。
臨地調査については、できるだけ行うべきであるが、まずは上記資料整備と考察を行い、それが完成してなお余力がある場合にのみ実施したいと考えている。

次年度の研究費の使用計画

見積もりと実際の支出とに差額が生じたため。
消耗品の購入にあてる予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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