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2013 年度 実施状況報告書

表記体と文体からみた変体漢文と和漢混淆文との連続性の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24520514
研究機関関西大学

研究代表者

乾 善彦  関西大学, 文学部, 教授 (30193569)

キーワード変体漢文 / 和漢混淆文 / 平安朝和文 / 表記体 / 散文文体
研究概要

①『三宝絵』の三本比較は、ほぼ完了し資料集としての報告書を準備する段階に至っている。とくに散文における漢文訓読的要素と和文的要素の関係については、『古事記』からの散文の流れを通史的に記述した「古事記の文章法と表記」(2013.10、萬葉語文研究第9集)において、古事記に含まれる漢文訓読的な要素は文体の基調を形成しており、仮名で記された和文的な要素をカタリのことばとしてとらえることで、両者の融合の形を考え、これに対して仮名文学作品の文体は、カタリのことばが枠組みをなしているが、全体としては漢文訓読のことばが貴重である点で、『古事記』の延長上にとらえることができることを明らかにした。
②文体と表記体を考察するのに欠かせない、文字とことばとの関係については、「誰が主役か脇役か―日本語表記における漢字と仮名の機能分担―」(2013.4、日本語学2013.4月臨時増刊号(32-5))および「仮名の用途からみた万葉仮名とひらがな」(2013.9、日本語学32-11)の2本の論文において、平安朝和文、つまり仮名文学作品に用いられる散文文体の成立は、ひらがなの成立が基盤としてあること、つまり、ひらがなが成立することによって、カタリのことばを基調とした枠組みが成立しえたことを論じた。それが変体漢文である『古事記』と仮名散文である平安朝和文との大きな差異であり、仮名散文が助動詞「ケリ」で統括された和漢混淆の文章であることも、これによって説明できるとした。
③以上のことから、古代の話しことばと書きことばについて、問題点を明らかにして、次年度に発表できる準備を整えている。また、資料の公開という点では、中世以降の変体漢文資料である往来物について、目録を整備し、デジタル公開の準備を整えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究成果としては、研究実績の概要にのべた3本の論文を公表している。これによって、研究目的のもっとも重要な部分は明らかにしえたと考えている。また、目的のひとつにデータの公開があるが、これについても準備は順調に進んでおり、平成26年度中に三宝絵の三本対照と往来物のデジタル化を公開できる準備はほぼ整っている。

今後の研究の推進方策

本研究のもっとも重要な課題である変体漢文と和漢混淆文との関係については、ほぼ明らかにしえたので、平成26年度は、これの本質的な意義について、「話しことばと書きことば」といった観点から説明を試みる予定である。加えて仮名成立の過程について、平安京藤原良相邸跡から出土した墨書土器など、新出資料に基づいて新たな見解を公表したい。それに加えて往来物というジャンルの資料整備が新たな課題として浮かび上がってきている。これについても、資料公開を促進する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 誰が主役か脇役か―日本語表記における漢字と仮名の機能分担―2013

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      日本語学

      巻: 32-5 ページ: 157-166

  • [雑誌論文] 仮名の用途からみた万葉仮名とひらがな2013

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      日本語学

      巻: 32-11 ページ: 14-25

  • [雑誌論文] 古事記の文章法と表記2013

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 雑誌名

      萬葉語文研究

      巻: 9 ページ: 57-73

    • 査読あり
  • [学会発表] 万葉集仮名書歌巻の位置

    • 著者名/発表者名
      乾 善彦
    • 学会等名
      萬葉学会
    • 発表場所
      東京大学
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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