研究課題/領域番号 |
24520515
|
研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
辻 加代子 神戸学院大学, 経済学部, 准教授 (30514723)
|
キーワード | 方言 / 敬語 / 方言敬語 / ハル敬語 / テヤ敬語 / 京都府口丹波地方 / 第三者敬語 |
研究概要 |
京都府口丹波地方の方言敬語の展開を調べるという本研究の二年目となる今年度は、亀岡市南西部の曽我部町、北東部の馬路町、最北部の南丹市園部町の3地点で調査を実施した。 面接調査の結果からは、亀岡市域を中心に高年層で美化語や「お~さん」のような言い方がよく使用されていること、方言敬語のハル敬語は全域的に使われている一方で、テヤ敬語の使用は地域差と年齢差があることが確認できた。奥村三雄(1962)「京都府方言」(楳垣実編『近畿方言の綜合的研究』三省堂p.282)には「…口丹波には、れっきとした敬語書カハル形が存しており、書イテヤ形は、むしろ、親愛語となっている」と記されているが、亀岡市曽我部町の調査からは、このハル敬語とテヤ敬語の使い分けの詳細をつかむことができた。テヤ敬語の活用は一般に複雑で、地域差も大きいが、当地でのその活用変化や承接関係についても詳しく調べることができた。また、高年層男性はテヤ敬語とハル敬語に加えてヨルも京都市の影響からか取り入れており、その三者の使い分けに関して興味深い結果が得られた。さらに、オラハルの形はどの地域でも使用されていること、オ~ヤスは定型表現でわずかに使用されていることがわかった。 前年度同様、軽卑語ないし親愛語とされるヨルは当該地方の男性にかなり浸透していること、その意味や機能に地域差と属性差があることが確認できた。亀岡市域において丁寧表現~ドス(名詞接続)・(~)オス(本動詞「ある」・形容詞接続)は60代以下の年齢層ではほとんど使用されないことが確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度同様亀岡市市街地での20代~50代話者への調査が実施できなかった。26年度は最終年度なので、早めに手立てを講じて協力者を全力で見つけることにしたい。 今年度は面接調査は2地点で完了し、新たに1地点で談話収録調査を完了することが出来た。各地点で調査に応じてくれた話者がその地点の話者をさらに紹介してくれたたお陰である。 収録した談話の文字化作業を業者に委託して進める予定であったが、業者選定に迷い作業が進まず、それにともなってデータの整備、コード化の作業を行えなかった。早急に対処したい。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、26年度は園部町を中心とした本調査実施するとしていたが、園部町の調査は完了しているので、24、25年度に計画していてやり残した亀岡市市街地若年層と中年層、曽我部町の中年層、本梅町、それにもう1~2地点での面接調査と、曽我部町での談話収録調査を7~9月に行いたい。あわせて補充的な調査や不明箇所の確認などを行う。 上と並行して、すでに収録済みの文字化作業と、調査済みの結果の整理を進め、分析に入りたい。 27年2、3月には、追加的な談話収録と文字化を行い、面接調査項目の網羅的な結果の提示、文字化資料の分析、調査により導き出された結論の提示を行いたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24、25年度に収録した文字化の委託を行わなかったので次年度使用額が生じた。 また、春休みの後半(平成26年2月下旬~3月)に風邪を引いてしまい、計画していた面接調査を計画通り行うことができなかった。会計年度が替わった平成26年3月下旬に少し調査を実施できたが、残りは持ち越すことになってしまった。 平成26年度に一括して文字化を委託する。 平成26年夏休みに鋭意調査を実施する。
|