研究課題/領域番号 |
24520521
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
神崎 享子 豊橋技術科学大学, 情報メディア基盤センター, 研究員 (00450693)
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キーワード | 複合動詞 / 語彙意味 |
研究概要 |
本研究は定量的な調査により統語と意味の両面から複合動詞形成の記述と類型化を行い統語と意味のミスマッチの解明を目的にした研究である。具体的には二語の動詞から一語の複合動詞を形成する際にどちらの動詞から統語的特徴(本研究では統語パターン)を受け継ぎ、どちらの動詞の意味的特徴(本研究では共起名詞)と類似しているかなどを定量的に調査する方針をとっている。 平成24年度は、基盤となるデータベース作成、つまり複合動詞を収集し格パターンと共起名詞を抽出する作業を行った。具体的には対象とする約2800語の複合動詞と複合動詞を構成する動詞に対して、京都大学で公開されている5億文のコーパスから格パターンと共起名詞を抽出し基礎となるデータを作った。 当該年度の平成25年度は、共起名詞の類似度からどちらの構成動詞が複合動詞に影響しているか統計的に計算した。具体的には構成動詞と複合動詞間で格ごとに共起名詞の類似度計算を行った。また格ごとだけではなく、格パターンに出現するすべての名詞をあわせて複合動詞と構成動詞の類似度も求めた。コサイン関数という類似尺度を用い、数値が高ければニ語間の類似度が高く、数値が低ければニ語間の類似度が低くなる。現在、次のような観点から、複合動詞の類型化を進めている。複合動詞リストに付与した格パターンを使って、1)複合動詞の格は、前項動詞から継承されているか、後項動詞から継承されているか、両方と同じ格パターンか。2)複合動詞と構成動詞のトータルの共起名詞の類似度から、複合動詞は、前項動詞と類似度が高いか、後項動詞と類似度が高いか。3)複合動詞と構成動詞の格ごとの共起名詞の類似度から、複合動詞の格のうち、どの格が、前項動詞と類似度が高いか、後項動詞と類似度が高いか、格ごとの類似度から構成動詞が複合動詞にどのような意味的影響を与えているかなどを調査、考察している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は、まずは基盤となるデータベースづくり、つまり、複合動詞を収集し、格パターンと共起名詞を抽出する作業を行い、初年度は目標を達成している。 当該年度の平成25年度は、複合動詞と構成動詞の間で、統語パターンの継承と共起名詞の類似性を、コサイン関数を用いて計算し、定量的な観点から複合動詞を類型化することが目標である。 現在、研究業績の概要で述べたすべての工程は終了しているが、途中、 最初のデータベースの細かなミスが原因で、再計算するなど時間的なロスがあり、若干、工程が遅れてしまった。そのため、現在、計算は全て終了し必要なデータは出揃ったものの、複合動詞の類型化がまだ途中の段階で次年度になってしまった。 平成26年度は、途中段階の複合動詞の類型化を完成させるとともに、その類型化に基づいて複合動詞と構成動詞の統語と意味のミスマッチの分析を行う予定である。データはすでに出揃い類型化も途中段階まで終わっているので大きな遅れにはならないと考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、複合動詞について、構成動詞との統語的継承と共起名詞の類似度から類型化を図り、それに基づいて統語と意味のミスマッチについて分析する。 類型化は全部で16パターンである。1)①複合動詞への統語の継承性:前項動詞と後項動詞の両方の統語パターンを継承 ②複合動詞との意味的類似度:a)前項動詞と高い、b)後項動詞と高い、c)両方と高い、d)両方と低い。2)①複合動詞への統語の継承性:前項動詞の統語パターンを継承 ②複合動詞との意味的類似度:a)前項動詞と高い、b)後項動詞と高い、c)両方と高い、d)両方と低い。3)①複合動詞への統語の継承性:後項動詞の統語パターンを継承 ②複合動詞との意味的類似度:a)前項動詞と高い、b)後項動詞と高い、c)両方と高い、d)両方と低い。4)①複合動詞への統語の継承性:両方の統語パターンを継承していない。②複合動詞との意味的類似度:a)前項動詞と高い、b)後項動詞と高い、c)両方と高い、d)両方と低い。 上記のパターンでの分類だけではなく、複合動詞と構成動詞を格ごとに共起名詞の類似度を算出している。格ごとにも検証することで、構成動詞の統語と意味がどのように、どれくらい複合動詞に影響しているかを詳細に分析し、定量的な観点から複合動詞合成の特性について明らかにし、得られた結果について外部発表や報告書作成などを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
使用額が生じた理由として、データ作成に時間がかかり外部発表ができなかっため、次年度に繰り越されている。 今年度はデータ分析とまとめを行い、外部発表をしていく計画である。
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