研究課題
基盤研究(C)
本研究は、現代日本語の自発的な話し言葉を研究対象として、そこに見られる「節連鎖構造」に関して、その実態を大規模音声コーパスに基づいて記述的に解明しようとするものである。初年度である24年度は、研究のための基盤整備として、(1)『日本語話し言葉コーパス』に付与されている「節境界ラベル」の妥当性の検証、および、(2)述語句の内部構造を解析してラベリングするためのプログラムの開発、という2点を行った。このうち(1)の成果については、カリーニングラード(ロシア)で開催された国際会議 "The Fifth International Conference on Cognitive Science" における併設ワークショップ "Spoken discourse corpora as a window oncognitive mechanisms of speech production" に参加し、口頭発表を行った。ここで、各国から参加した研究者とともに、多言語における節連鎖構造の比較・対照研究に関する可能性を議論した。また、(2) の成果については、コーパスから自動的に述語句に含まれる文法カテゴリを抽出するためのプログラムの開発に着手しており、動作チェックを行っている。次年度は、話し言葉と書き言葉の比較を行うことを念頭に、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』も処理対象に含めながら、開発を継続する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画では、話し言葉コーパスに現れる述語句の内部構造を解析するプログラムの開発を24年度中に行う予定であったが、書き言葉コーパスにも対応できるようにプログラムの仕様を変更することにしたため、開発の完了には至らなかった。その分、話し言葉コーパスの分析結果を国際ワークショップで発表し、多言語間における比較・対照研究の可能性を探るなど、26年度に計画していた研究内容を前倒しで実施した。全体としては、おおむね順調に進展していると言える。
25年度は、解析用プログラムの開発に加え、その処理結果を利用した分析を開始する。分析の結果は、国内外の学会やワークショップなどで発表する。また、新規にアノテーション(情報付与)した結果を一般に公開するための方策について検討する。
該当なし
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The Fifth International Conference on Cognitive Science, Abstracts Volume 2: Workshop ``Spoken discourse corpora as a window on cognitive mechanisms of speech production''
巻: 2 ページ: 782-783