本研究の目的は、自発的な話し言葉に現れる「多重的な節連鎖構造」の実態を、自発音声コーパスに基づいて明らかにすることである。自発的な話し言葉では、連用節が何重にも連なることによって、長大な発話が形成されることがある。これは日常の話し言葉で頻繁に観察される現象であるが、そこでどのような形式の連用節がどのような組み合わせによって用いられているのかは、明らかになっていない。その実態を、『日本語話し言葉コーパス』(CSJ)を用いて定量的に分析する。また、『現代日本語書き言葉均衡コーパス』(BCCWJ)を用いて同様の分析を実施することにより、話し言葉と書き言葉の比較・対照を行う。
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