研究概要 |
本研究は、生成文法のミニマリスト・プログラムの枠組みで、時制、モダリティー、話者指向の副詞表現等の指標性現象の中核概念である「話者の視点」の統語的具現化の考察を手がかりとして、統語論と他部門とのインターフェースの解明に寄与することを目的とする。具体的には、(1)話者の視点の統語的具現化メカニズムの解明、(2)談話機能の統語的具現化メカニズムの解明、(3)統語的具現化の観点による言語インターフェース理論の構築、の3点を目標とする。平成24年度は研究基盤年度とし、3つの目標の基礎的研究を行った。(1)については、Giorgi (2011)、Higginbotham (2009)、金子(2009, 2010)等の批判的検討を行った。(2)については、談話機能の統語的具現化の解明をめざすカートグラフィー理論に基づくHaegeman (2010, 2012)による一連の付加詞節の研究を批判的に検討し、金子 (2011)の提案の発展的展開の道を検討した。(3)については、Di Sciullo and Hill (2010)、Uriagereka (2012)等の批判的検討を中心に、言語インターフェース理論の基盤的整備を行った。併せて、文献の収集と整理、関連研究者との交流により情報収集を行った。以上の研究活動の成果として、金子 (2013)「英語における時制の内部素性とその分布特性について」を発表した。同論文では、英語の種々の定形節のTP主要部を構成する時制を、定形性素性[+/-finite]、直示的 [+/-deictic]、叙法素性([+indicative]、[+hypothetical]、等)の複合をとして捉える分析を提案した。その分析に基づき、話者の発話の時点と定形節の評価時EvT (evaluation time)の同定プロセスにおける統語特性の考察を行った。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、直接経費1,400,000円について、図書費等の物品費1,000,000、成果発表旅費等の旅費として220,000円、人件費80,000円、その他100,000円を予定している。おおよその内訳は以下の通りである。 (1)物品費:1,000,000(図書費(70冊程度)700,0000円、コンピュータソフト・メンテナンス・プリンタートナー等300,000円) (2)旅費:220,000円(成果発表旅費60,000円、調査研究旅費50,000円、研究打合せ旅費50,000円、招へい旅費60,000円) (3)人件費:80,000円(専門的知識の提供80,000円) (4)その他:100,000円(印刷費50,000円、通信費50,000円)
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