本研究では、話者の視点の統語的具現化の観点から言語インターフェース現象を探求した。その成果として、話者の発話行為と結びつく直示的時制と主節の事象と結びつく非直示的時制の統語的分布を捉える素性システムを提案した。それに基づき、時制の一致に関わる現象には、直示的過去時制の生起に対する既知の制限に加えて、非直示的現在時制の生起に対する制限が存在することを明らかにした。さらに、二重接触現象は、従属節をLFで主節時制の作用域外に移動し、痕跡位置の現在時制は主節動詞に同定される非直示的時制として、移動された節の現在時制は話者の発話行為を表示する機能範疇に同定される直示的時制として解釈する可能性を示唆した。
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