研究課題/領域番号 |
24520526
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小川 芳樹 東北大学, 情報科学研究科, 教授 (20322977)
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研究分担者 |
新沼 史和 盛岡大学, 栄養科学部, 准教授 (40369814)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 史的統語論 / 史的コーパス / 文法化とパラメター変化 / 機能範疇化 / 再分析 |
研究概要 |
24年度は、まず、小川は、未出版論文Nishiyama and Ogawa (2010)の和訳を、開拓社から刊行される遠藤嘉雄(編)『世界に向けた日本語研究』の中の一章として収録予定である。 第二に、小川と新沼は、再構造化動詞のアスペクト化を前提とした削除現象についての共著論文“Aspectual Verbs and Pseudogapping in Japanese”を、昨年8月に韓国Dongguk大学で開催された国際学会SICOGG 14で口頭発表し、その内容は、Proceedings of the 14th Seoul International Conference on Generative Grammarに収録された。 第三に、小川と新沼は、日本語にアスペクト的機能範疇が存在することを前提とした場所句「に/で」についての共著論文”On the Syntactic Licensing of Locative Expressions in Japanese”を、昨年9月に三重大学で開催された国際学会GLOW in Asia IXで口頭発表し、その内容は、今月刊行されたNanzan Linguisticsに掲載された。 第四に、小川は、nearの文法化についての未出版論文Ogawa (2012)を、近日出版予定の菊地朗他(編)『言語におけるミスマッチ』の中の一章として収録予定である。 第五に、本年5月に東北大学で開催される日本英文学会第86回大会のシンポジウム「文法化と語彙化とカートグラフィー:統語論と形態論の境界をめぐって」の中で、小川は、英語の連結形と結果構文と日本語の複合動詞の通時的変化についての論文「通時的な「自立語化」と「構文化」についての統語的一考察」を、新沼は、句動詞の通時的変化についての論文「句動詞の統語構造:awayを中心に」を、それぞれ口頭発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小川は、Nishiyama and Ogawa (2010)とOgawa (2012)を24年度中に公刊する予定であった。現段階でこれらを含む論文集がいずれも未刊であるものの、公刊に向けて、すでに論文集の編者に原稿を提出している。 小川&新沼 (2010)は、ジャーナルへの投稿論文が不採用となったため、公刊は予定よりも遅れる見込みである。 小川と新沼の共著による2つの論文 (SICOGG 14, GLOW in Asia IX)はいずれも、生成文法理論・史的統語論の枠組みに沿った日本語の動詞の研究から得られた知見をもとにしたものであり、まさに、本科研費の研究課題に沿うものである。 日本英文学会第86回大会のシンポジウムで小川と新沼がそれぞれ発表予定の論文も、英語の通時的変化に関するコーパスを用いて結果構文や句動詞の用法を調査した結果を踏まえたものであり、まさに、本科研費の研究課題に沿うものである。
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今後の研究の推進方策 |
小川と新沼は、国立国語研究所が提供している日本語歴史コーパスや中納言・近代女性雑誌コーパス等を用いた、日本語複合動詞の文法化の通時的過程の調査を踏まえて、その成果を国際学会で発表することと、小川&新沼 (2010)の公刊に向けてのジャーナルへの再投稿を目指す。 また、小川と新沼は、昨年度に口頭発表し、SICOGG 14, GLOW in Asia IXそれぞれのProceedingsに掲載された論文の修正発展版を作成し、査読付き国際ジャーナルに投稿予定である。 研究代表者の小川は、所属する東北大学情報科学研究科に,本年2月に、学内外の16名のメンバーから成る「言語変化・変異研究ユニット」を立ち上げた。これは、本科研費の研究テーマをより一般化した研究を実践するための研究ユニットであり、3年計画で進めるが、この研究ユニットの活動としては、今年度は、コーパス言語学を専門とする研究者と自然言語処理を専門とする研究者を1名ずつ招待して講演していただくことと、言語変化・変異研究の成果を発表するワークショップを1回開催することを予定している。 この活動と平行して、日本英文学会のシンポジウムで小川と新沼が発表予定の論文は、他の講師2名の発表論文を含む7本程度の論文を特集号として、情報科学研究科発行の国際ジャーナルに刊行することを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
上記の目的のために、研究費は、事例調査のための図書の購入費、成果発表および資料収集のため国内外の学会に赴くさいの旅費、研究ユニットで招待する講演者への謝金等に使う予定である。
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