研究概要 |
ミニマリストプログラムで提案されたC/vからT/Vへの素性継承とC/vおよびT/Vによるパラレルプロービングの仕組みに基き、以下の研究を行った。 (1)前年度に引き続きallege/assure類の不定詞補文に見られる固有の移動特性の解明をテーマとして、「例外的補文選択」と「多根(multiple roots)構造」の二つの統語的仕組みに基づく統語分析にまとめあげ、秋の学会で口頭発表しプロシーディングズにあたる論文を出版した。 ②この分析は同一の統語要素(syntactic object)を共有するA移動とA'移動が混在する派生を認めるが、この派生は、(i)PF側で単一のチェインメンバーが発音対象として選び出され、かつ、(ii)その結果が線形化linearizationに矛盾しない場合に限って、許容されることを①の中で提案した。 ③allege/assure類の分析におけるvからVへの格素性継承に着想を得て、動詞派生名詞(deverbal nouns)を主要部とする名詞化構文において純粋PP型補部とof型補部が分布を異にする事実(Fu, Roeper , Borer 2001)を、nからNへの属格素性の継承により導出した(例: the arrival of the trains promptly at the station; *the arrival promptly of the trains at the station; because of their reliance heavily on their families, friends, and teachers)。
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