研究課題/領域番号 |
24520528
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨 山形大学, 人文学部, 教授 (70216414)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 文法 / 意味解釈 / 逸脱表現 / 創造性 / 結果構文 |
研究概要 |
いわゆる創造的な結果構文において非選択目的語が認可される意味解釈の制約のしくみを明示的に示すことを通じて、結果構文の慣用性と創造性について考察を進めた。 Boas(2003)の結果構文研究では、動詞と結果句の組み合わせに関して、その大半が慣用的なものであり、いわゆる創造的で新奇な逸脱表現の事例は非常に限定的であり、従来の研究で想定されているほど構文としての生産性は高くないと論じている。そして、そのような見地から結果構文の構文としての特性の一般化は事実上放棄されている。 本研究では、Boasの研究が結果構文の生産性と創造性を過小評価しているとの認識に立ち、非選択目的語を伴う結果構文の中でも、特に一回性の創造的で新奇な事例と見なされる結果構文における意味解釈のしくみを精査し、その構文特性を動詞の意味タイプに応じて一般化された説明として提示することを試みた。その際に、Boas(2003)の用例基盤モデルによる類推分析や、Broccias(2003, 2007)における非選択目的語の認可条件分析などの先行研究には潜在的な問題があり、十分な妥当性を持つ説明ではないことを明らかにした上で、代案として、変化事象における力動伝達(force transmission)と「部分/全体(part/whole)」、「図/地(figure/ground)」の意味解釈に基づく非選択目的語の認可のしくみを提案した。 さらに、Way構文など関連構文との比較から、非選択目的語を伴う結果構文の構文としての生産性の低さは、主に文脈を含めた変化事象解釈の全体に及ぶ整合性の計算上の複雑さに起因し、逆説的にそこに創造的と評価されうる表現が生まれる可能性があることを明らかにした。 以上の内容の一部を、学会発表と論文にまとめることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語における創造的な逸脱表現を、文法と意味解釈のインターフェイスにおける相互作用の帰結として特徴づけるという方向性のもとで、非選択目的語の生じる結果構文の事例研究を進め、意味解釈における認可のしくみの一端を明らかにすることができた。データの整理や理論概念の確定に向けてまだ課題はあるが、おおむね研究の方向性の正しさが確認できたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の結果構文における創造的逸脱表現について、特に非選択目的語の認可のメカニズムについての説明理論の批判的再評価と精緻化を進めるとともに、関連する諸構文についても、共通点と相違点を明らかにし、研究を進める。具体的には、関連データの収集と整理、関連研究の文献収集と内容の検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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