研究課題/領域番号 |
24520530
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
和田 尚明 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (40282264)
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研究分担者 |
渡邊 淳也 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (20349210)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 時制 / アスペクト / モダリティ / 比較研究 |
研究実績の概要 |
本年度は、和田が日英独仏蘭語の時制・モダリティ・アスペクトの包括的な研究の一環として、英語の単純現在形の各種用法、物語の地の文における過去形の分析、英独蘭語の完了形の文法化、ならびに、英仏語のGO-未来形の比較を行い、渡邊が日英仏語の時制・モダリティ・アスペクトならびに証拠性の包括的な研究の一環として、認知モードを用いた日英仏語の比較、仏語のジェロンディフと英語の分詞構文の比較ならびに仏語の未来表現(単純未来と迂言的未来の比較ならびに前未来形の分析)を中心に研究した。 また、仏語の単純現在形の各種用法ならびに物語文における単純現在形の用法に関して講師2名を呼んで講演してもらったほか、関連する分野の大学院生にも話してもらった。 本年度も定期的に合同研究会を行い、研究テーマが関連する大学院生も含めて、意見交換ならびに研究成果の共有を行った。研究会の活動記録は、次の通りである。第1回研究会(渡邊淳也):「認知モードと言語間比較」(2014年5月13日) 第2回研究会(和田尚明):「英語の単純現在形の分析再び」(2014年5月27日) 第3回研究会(大道果南):「談話マーカーdisonsに関する研究」(2014年10月7日) 第4回研究会(渡邊淳也):「ポリフォニーと証拠性」(2104年12月3日) 第5回研究会(五十嵐啓太):「名詞化接辞「の」とMirativity」(2015年1月13日) 第6回研究会(和田尚明):「Be Going ToとAller未来:英仏語比較研究」(2015年2月10日) また、和田が2014年6月16日~18日に行為性・テンス・アスペクト・モダリティ/証拠性に関する第11回国際学会(ピサ高等師範学校(イタリア))にて研究発表を行い、渡邊が国内で仏語の未来形とジェロンディフに関する研究発表(日本フランス語学会・日本フランス語フランス文学会)を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、和田が自ら提案する時制モデルに基づき、日本語ならびに英独仏蘭語の未来時指示および過去時指示に関する時制・モダリティ・アスペクト現象の類似点ならびに相違点の分析を、渡邊が日仏西語の非定形述語ならびに未来時指示に関する時制・モダリティ・アスペクト現象を「視点」と絡めて分析する予定であった。当初の予定より扱いが少ない言語もある一方で、当初の予定にはなかった関連テーマへの拡張も見られるので、「包括的分析」を掲げる本課題としては、全体としておおむね順調に進展していると言える。 具体的には、和田が時制・モダリティ・アスペクトの包括的分析を射程に収めた時制モデルを発展させ、それに基づく説明として、英語の各種時制形式(単純現在形・be to・過去形)の用法の分析、be going toとaller未来(仏語のGO-未来)との比較、英独蘭語の現在完了形の文法化とC-牽引との関係などを中心に研究し、渡邊が仏語のジェロンディフと英語の分詞構文との比較分析、証拠性ならびにそれに関連する発話態度要素の分析、仏語の各種未来表現(単純未来・迂言的(aller)未来・前未来)の用法の分析などを中心に研究した。 これらの研究は、国内外での研究発表ならびに論文掲載という形で成果をあげている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、課題の最終年度であり、まず、課題の仕上げの一環としてこれまでの研究テーマの中からいくつか精選し、それに関する論文を収めた論文集を報告書の代わりとして作成する。特に、時制・モダリティ・アスペクトを包括的に扱うモデルとどう関係するのかが明確になるような論文集にする予定である。 今年度の研究テーマとしては、やはり、和田が「日本語ならびに英独仏蘭語の未来時指示ならびに過去時指示に関する時制・モダリティ・アスペクト現象」を自らの時制モデルならびに視点やC-牽引との関係で分析し、渡邊が「日仏西語の非定形述語ならびに未来時指示に関する時制・モダリティ・アスペクトならびに証拠性とその関連分野についての現象」を視点や認知モードとの関係で分析することが中心となる。 具体的には、まず合同研究会については、一人2~3回の発表を行い、テーマが関連する大学院生の発表・討論も加えることで、研究の幅を広げ、妥当性を高めていく。研究発表としては、現在のところ、和田が国際認知言語学会(ノーサンブリア大学・イギリス)において「英独蘭語の現在完了形の文法化とC-牽引」について発表する予定で、渡邊が日本フランス語学会(早稲田大学)において「Ceci dit, cela dit」について発表する予定である。 他にも、本課題の研究成果は、随時、口頭発表や論文掲載という形で発表していく。
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