本研究は,英語と日本語においてどのような統語構造上の要因が数量詞の作用域を決定しているかについて考察を行うものである。第一に,数量詞句の作用域と統語構造との関連性を考察し,数量詞句内の構造上最上段の位置を数量詞が占めることによって広い作用域が可能になることを論じた。第二に,数量詞句の作用域と文構造上の要因について考察を行い,文構造において,意味解釈に関わる統語素性によって数量詞句が認可されることよって,数量詞句の広い作用域が可能になると論じた。第三に,英語と日本語との間に見られる作用域パタンの相違は,主語の認可のされ方の違いに基づくことを示した。
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