研究課題/領域番号 |
24520538
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中安 美奈子 浜松医科大学, 医学部, 准教授 (80217926)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 時空間体系 / 中英語 / 歴史語用論 |
研究概要 |
本研究の目的は、中英語における時空間体系を歴史語用論の視点から体系的に分析することである。時空間体系には語用論的なファクターが密接に関わっているにもかかわらず、歴史的なデータにおいては、語用論的な分析はいまだ不十分であると言わざるをえない。時制や人称代名詞といった時空間に関する文法範疇や形式に着目し、言語行為等のミクロなレベルにとどまらず、談話等のマクロなレベルに踏み込んだ分析を行い、こういったファクターが相互にどのように関連しているのか、また、談話においてどのように展開するのかについて検討している。 本年度は、これまでの研究との連続性という観点から、中英語の時間に関するファクターについての分析を行い、さらに、空間体系に関するファクターを考慮に入れて分析し、時空間体系を包括的に分析するための土台を形成することを試みた。時間体系、空間体系、歴史語用論に関する文献を調査・検討することにより、基本概念や方法論等を含めて明らかにすべき問題点を確認した。 分析にあたっては、チョーサーをコーパスとして韻文と散文のデータベースを構築した。代名詞、副詞類、時制、法助動詞等の量的および質的な分析を行うことにより、話者がこれらの項目をどのように近称と遠称とに分類しているのか、これらが談話においてどのように関連しあっているのかを検討した。 来年度については、これまでの研究結果を踏まえ、時間体系に関する分析を精密化し、空間体系に関する分析をさらにすすめたうえで、中英語の時空間体系に関する見通しを得ることを期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究との連続性、また今後の分析の土台を形成するという観点から、時間に関するファクターのみを分析する予定であった。しかしながら、早い時期に本研究全体の見通しを得た方が、より効率よく研究の目的を達成できるという判断から、時空間体系全体に関する試験的な分析を始めることとした。分析にあたっては、コーパスの範囲を絞って、時間に関するファクターのみならず、空間に関するファクターを分析の対象に加えた。そのため、翌年度に開始する予定であった空間体系に関する分析に着手することはできたが、この年度に取り組む予定であった時間体系に関する分析が十分にできたとはいえない。したがって、研究の達成度としてはやや遅れていると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度と平成26年度においては、次のポイントに重点をおいて研究をすすめていく予定である。 1 チョーサーと同時代の作家であるガウワー、パストン家書簡集にもコーパスの範囲を拡大する。ただし、同時に多くのファクターを分析に取り込むため、コーパスの範囲を広げすぎないことが重要である。 2 時間体系と空間体系を相互に関連づけたデータベースを構築する。 3 歴史語用論の方法論が進展していくことが予想されるため、常に最新の情報に注意を払い、本研究の方法論に取り入れる。 4 ヤーツェック・フィシャック教授(アダム・ミツケビッチ大学(ポーランド))やそのほかの研究者から、研究をすすめるうえでのレビューを得る。 5 本研究の成果を国際学会等で発表し、学会誌等に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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