平成24年度は、先行研究の精査分析と理論の深化及び精密化を行い、英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音の相違点と類似点を明らかにした。なお、成果の一部は、日本中部言語学会定例研究会(静岡県立大学2012.12.8)で発表した。平成25年度は、米国University of Washingtonに1ヶ月間出張し、英語母語話者大学生を対象に現地調査及び音響実験を実施した。また、ワシントン大学英語母語話者学生と広島大学日本語母語話者学生の音声比較分析を行い以下の4点を明らかにした:(1)英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音の持続時間は殆ど変わらない。(2)日本語ラ行弾音は無声音化するが英語歯茎弾音ほどではない。(3)英語側音は、日本語ラ行弾音と比較すると持続時間が長い。(4)英語歯茎弾音は無声音化するが、英語側音は殆ど無声音化しない。これらは新発見であり、重要である。また、上記の発見は第二言語・外国語としての英語音声習得にとって知見を提供することとなり意義があるといえる。本研究の最終段階である平成26年度は、英語歯茎弾音と日本語ラ行弾音の類似点と相違点を明確にし、成果を論文 ”An Acoustic Analysis of Flaps in American English and Japanese: Occlusion duration and devoicing”にまとめ、平成26年8月5日にノルウエー、オスロ大学の教授が編集長である、対照言語研究を分野とする国際ジャーナル、Languages in Contrastに投稿した。平成27年1月6日に査読結果が届き、accepted with major changesで受理された。再提出期限は、平成27年7月7日である。現在、査読委員のコメントに従い、論文の修正中であり、提出期限までには、修正を完了して提出する予定である。
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