本研究は,後期近代英語期に一般化した未完了相の文法機能完成過程について,当該文法構造の文法化過程における構文的要因と語彙的要因を,実証的英語史研究眼と認知意味論的アスペクト観という研究眼とのコラボレーションによって検討するものである。本研究によって,(1)進行形構造を形成する動詞の種類が後期近代英語期に多様化すること,(2)後期近代英語期における進行形構造の出現環境は,認知言語学的に見て,初期近代英語期まではできあがっていなかった,現代英語がもつ未完了相システムが完成に到達するという文法化過程を呈することを記述することを目指した。 平成24年度には,進行形構造の形成要因の整理を行い,平成25年度には認知意味論的アスペクト観の検討と,実証的英語史研究法への援用可能性の検討を行った。進行形構造の構文表出プロセスの基本的なあり方を整理し,語彙的要因との対応・対立関係を導き出すことが,平成26年度の具体的作業目的であった。 これらの活動の成果の一部を,『近代英語考:未来助動詞と進行形に関する考察』としてまとめた。
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