研究課題/領域番号 |
24520547
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80198431)
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研究分担者 |
田中 公介 産業医科大学, 医学部, 助教 (40565751)
増冨 和浩 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (90452797)
團迫 雅彦 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 専門研究員 (50581534)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 談話インターフェイス / フェーズ / topic / focus / 談話連結 / 右方移動 |
研究概要 |
単文レベルで働く文法制約が、ある談話の中で用いられた場合に働かない場合がある。それは従来、例外扱いされてきた現象であるが、談話のなかであれ、文として機能している以上、何らかの統語的メカニズムが働いていないはずはない。本研究は、この直感を近年の生成文法理論に照らして実証するものである。すなわち、本研究は、以下の2点を目的とする。(i)一見例外的に思われる具体的現象の分析を通して、統語構造における談話とのインターフェイス構造を探求し、その統語的メカニズムを解明する。(ii)インターフェイス構造のフェイズとしての役割を検証し、最適の文法理論構築に貢献する。 本年度は上記の目的のために、以下の実施計画に従い研究を進めた。 (1)代表者・分担者で、課題研究の準備状況と研究計画の再確認を行う。(2) 生成文法における最新の理論的動向を探るとともに、談話とのインターフェイス研究の従来の分析の問題点を洗い出す。(3) これまでのtopic, focusの概念を反映した節の統語構造分析を再吟味し、フェーズ理論に照らし、新たなモデルを提示する。(4) 談話連結表現の文法現象を洗い直し、その内部構造モデルを提示する。 (1)(2)は全員でおこない、(3)に関しては、西岡が日本語の否定文の節構造におけるtopicとfocusの役割を重点的に研究し、その成果は海外の研究者とともに海外の学会で発表し、Miyagawa, Nishioka, Zeijlstra (2013)として公刊される。また、田中が右方移動に関して分析を進め、田中(2013)として公刊予定であり、團迫は言語習得の観点から研究を進めた。さらに(4)に関しては、増冨が名詞表現の特定性に関して研究を進め、増冨 (2013)として公刊予定である。いずれの研究も研究目的の(ii)に貢献しており、今後の研究を進める上での重要な基盤となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、当初の談話構造から節構造を探る方向での研究のやり方(外から内)を若干修正し、節構造自体の研究を並行的、あるいは重点的に行う方針で研究をすすめたが、談話連結表現、否定文におけるtopic, focusの役割、右方移動におけるfocusとphase理論などにおいて相応の成果があった。公刊が少し遅れたが来年度に発表される予定である。。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のように研究を推進する。 1. 研究課題に対する談話分析、意味論、語用論研究の文献、特に統語規則の例外を独自に扱うことを試みた論考を再点検して、独自のあらたな統語構造におけるインターフェイス構造ならびに文法モデルを構築する。 2.前年度の調査結果を踏まえ、研究対象の談話現象の共通要素をつきとめ、統語構造のインターフェイス構造を提案する。 3.本研究に関連する国内外の研究者(Shigeru Miyagawa 氏(MIT)、Hedde Zeijlstra氏(University of Amsterdam)、大庭幸男氏(関西外国語大学)等)と意見交換を行い、研究の進捗状況の確認と軌道確認を行う。 4.研究成果を国内外の学会で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
関連構文についての文献調査を、言語学・英語学文献により行う。→このために言語学・英語学文献を備品として購入する。 調査し、収集したデータの整理を行う。→このために研究補助費、消耗品、複写費等に使う。 会合して研究打ち合わせを行う。また、学会等で発表し、中間的研究状況についても討議する。→このために会合費や研究旅費等が必要である。 研究成果について、国内外の研究者との意見交換を行う。→このために研究旅費、専門的知識の提供への謝金に使う。 学会で研究成果を発表する。→このため研究旅費が必要である。
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