研究課題/領域番号 |
24520547
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 教授 (80198431)
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研究分担者 |
田中 公介 産業医科大学, 医学部, 助教 (40565751)
増冨 和浩 宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (90452797)
團迫 雅彦 九州大学, 人文科学研究科(研究院), 専門研究員 (50581534)
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キーワード | 談話インターフェイス / フェーズ / 焦点 / 談話連結 / 右方移動 / 例外的統語現象 / 特定性 |
研究概要 |
本研究は、以下の2点を目的とする。(i)一見例外的に思われる具体的現象の分析を通して、統語構造における談話とのインターフェイス構造を探求し、その統語的メカニズムを解明する。(ii)インターフェイス構造のフェイズとしての役割を検証し、最適の文法理論構築に貢献する。 本年度は上記の目的のために、以下の実施計画に従い研究を進めた。 (1)前年度の調査・研究を整理し、研究計画の再確認を行う。(2)関連構文の詳細な通言語的調査を言語学文献によって引き続き行う。(3)前年度の調査で明らかになった問題点を踏まえ、研究対象の談話現象の共通要素をつきとめ、統語構造のインターフェイス構造を提案する。(4)本研究に関連する国内外の研究者(宮川繁氏(MIT)等と意見交換を行い、研究の進捗状況の確認と軌道確認を行う。(5)研究の現段階での成果を公表する。 (1)(2)は全員で行い、(3)(5)は一見例外的にみえる現象に関し、西岡が繰り返し疑問文と、熊本方言からみた日本語の統語構造分析を行い、CP構造と話題、焦点の役割を明らかにした。増冨は、談話とのインターフェイス構造を視野にいれ、特定性と談話連結表現を基にDPの内部構造を提案し、田中が右方移動の派生を焦点とフェーズ理論に照らして分析した。また、團迫が言語習得ならびにCPのカートグラフィに基づく分析を行った。4人の研究成果は、日本英文学会九州支部大会にて「談話と統語構造とのインターフェイスを求めて─例外的文法現象とフェイズ理論─」と題するシンポジウムを行い一部を公表し刊行した。 (4)に関しては、宮川氏と小渕麻菜氏(ユトレヒト大学)が九州大学来学の際にまた、大庭幸男氏(大阪大学)を訪問して助言を得て、現在の研究の方向の妥当性を確認した。今年度の研究は、研究目的の(i)(ii)に寄与するものであり、今後の研究の基盤となる点で意義深い。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度はほぼ計画通りに研究が進み、西岡の繰り返し疑問文と熊本方言研究、増冨の談話連結、特定性と移動研究、田中の右方移動とフェーズ、團迫の言語習得とCP構造研究に研究目的に即した相応の成果があった。また、その成果をシンポジウムと公刊という形で公表できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下のように研究を推進する。 (1) 理論的進展と整合性をはかるため、言語理論に関する文献調査を行い、本研究で提案した分析の妥当性を検証する。 (2) 研究成果を国内外の学会で発表し、公刊する。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費(特に図書)に関して当初予定より使用する必要性が減った。また、来年度海外で複数の成果発表を計画しており、そのために予算を意図的に残した。 図書購入と国内外での学会での成果発表、ならびに報告書作成に使用予定である。
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