研究課題/領域番号 |
24520548
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中山 仁 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (70259810)
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キーワード | 関係詞 / 制限的関係詞節 / 非制限的関係詞節 |
研究概要 |
平成25年度は、英語の関係詞節について、ある種の例外的用法の分析を手がかりに、段階性を特徴とした新たな分類を試みた。英語の関係詞節は、通例、制限的用法と非制限的用法の2つに大別される。一般に、制限節が先行詞の指示対象を限定する役割を持つのに対し、非制限節は、先行詞の指示対象が既に先行詞によって特定されているので、先行詞と別個の情報単位を構成し、その情報構造上の特徴を反映して2つの節は休止あるいはコンマによって区切られると考えられている。本年度の研究では、先行詞の内容を限定していないと思われる制限節や、前後がコンマで区切られていない非制限節といった、いわば例外的な関係詞節についての意味的・語用論的考察を行った。その結果、主節と関係詞節は「必然性」という概念に基づく段階的な連結関係を持ち、それを背景に例外的表現形式が実現されることを示した。その上で、このような段階性を反映した関係詞節の新たな分類を提案し、関係詞節全体の連結関係についての一般化を行った。 関係詞節の分類については、既に中山 (2010)* で仮説を提出しているが、今回は関連する資料の追加を行なった上で、「必然性」の概念についてより厳密な定義を行い、分類方法に修正を加えた。なお、今回の議論では、関係詞節としての that 節についての考察が十分に行なわれていないので、次年度で検討したい。 *中山 仁. 2010.「コンマを伴わない非制限的関係詞節に関する意味的・語用論的考察」『英語表現研究』27, 15-26.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画によれば、本年度実施した研究は、平成26年度前半に実施予定のものであったが、関係詞節の分類に関する有益な言語資料がある程度収集できたため、25年度実施予定の研究に先行して実施した。したがって、平成26年度前半は、本年度提示した関係詞節の分類上の概念や、分類の根拠となる事例を吟味するという観点から、平成25年度実施予定であった関係詞節の限定機能と記述的機能についての研究を行うことにする。研究手順に変更はあったものの、計画全体としては順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
制限的関係詞節と非制限的関係詞節との間であいまいな位置づけがなされている関係詞節を中心に、主節と関係詞節との連結関係についての意味的・語用論的研究を行う。具体的には、先行詞と関係詞節との修飾関係において、関係詞節が限定的に機能する場合と記述的に機能する場合を個々の事例について吟味し、それらが制限的関係詞節と非制限的関係詞節という単純な二分法では説明が困難であることを示す。また、形式上は制限的関係詞節であるにもかかわらず、発話意図によって制限的関係詞節と非制限的関係詞節の両方の解釈の可能性が生じる表現についても合わせて検討する。 一方、平成25年度の研究で十分な検討が行われなかった事例として、非制限的用法の形式を持つ that 節についても扱う。この事例については、文学作品は別として非制限的用法には用いられないという(特に規範的な立場からの)指摘がなされているが、実際にはさほどまれではないようである。これを本研究の議論に沿って、意味的・語用論的な観点から説明することができれば、これまで提案してきた説明概念や推論の妥当性を支持することにもなると思われる。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究費が生じたのは、研究中に必要となった資料(書籍)等の支払い手続き上の理由によるものである。発注および納品は年度末に完了しているが、支払いは当該年度を過ぎてから行われた。その結果、この分だけ次年度使用額として発生した。 購入した資料等は昨年度に引き続き研究上の資料等として有益であるので、次年度においても活用する予定である。
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