研究課題/領域番号 |
24520549
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研究機関 | 神戸市外国語大学 |
研究代表者 |
三間 英樹 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (20316029)
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キーワード | 英語 / 音韻論 / 強勢 / 接尾辞 / 最適性理論 / 類型順序 / 計量調査 |
研究概要 |
本研究の目的は、英語の派生語の強勢パターンの分布が、入力(語基)の音節構造の分布と一般的な音韻制約の階上類型 (factorial typology) からどの程度予測可能であるか、を考察することである。本年度はまず、その前半部である派生語の実際の強勢パターンについて、筆者が以前行っていた研究(「英語接尾辞のクラス性と強勢付与に関する記述調査と部分配列理論による分析(課題番号:21520513)」,以下「前研究」)で得られた成果を用いて、そのパターンの分布が音韻制約の階上類型から予測される分布とどの程度一致するかについての考察を行った。その結果は、7月に韓国で行われた国際学会において口頭発表されるとともに、開拓社から出版された著書 Patterns and Categories in English Suffixation and Stress Placement: A Theoretical and Quantitative Study の一部として形に表すことができた。 また、この理論的考察の基となっている部分配列理論の提唱者であるスタンフォード大学の Arto Anttila 准教授を勤務校に招聘し、理論的考察についての意見交換を進めることができた。また、同理論の進展に関して同准教授から有益な情報を得ることもできた。 残された作業は、これらの予測を語基の音節構造の分布と組み合わせたときに、理論が予測する分布とどれぐらい一致するかを調べることである。その目的のため学生アルバイトを雇用し、語基の音節構造の分布についてデータベースへの入力を継続的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進行している。本年度の計画は、(1) 強勢パターンの分布の調査,(2) その理論的考察と意見交換,(3) 学会などでの成果発表,(4) データ入力の継続、であったが、その全てについて予定通り行うことができた。ただし、(3) について出版という大きな成果が得られた一方で、(4) については予定より作業が少々遅れがちである。これは主に学生アルバイトの手配が思ったほどできなかったことに起因しているが、それは就職活動の激化により学生の自由時間が減少したということと、留学する学生が増加したという、計画立案時には予測できなかった状況が生じたためである。この人材不足という点に関しては、設備や雇用規則の問題が有りなかなか対応が難しいが、次年度になるべく改善したい。
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今後の研究の推進方策 |
上記の通り、データベースへの入力作業が若干遅れ気味であるため、アルバイトの雇用を一層促進したい。具体的には、(1) コンピューターの増設、(2) 学生の雇用方法の効率化、という方策を取る。(1) に関しては、そもそも入力作業に用いるコンピューターが研究室に不足しているので、増設することで雇用できるアルバイトの人数を増やそうということである。(2) に関しては、これまでは常に作業できる学生だけを雇用して作業させていたが、就職活動などで研究室に来ることができなかった者も少なからずいた。そこであらかじめコンピューターの台数以上の学生を予備的に登録させておき、欠員が生じた際にはその予備の学生を招集することで作業の効率化を進めたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は書籍の出版が予定より早くできることになったので出版費用の支出のために前倒し請求を行ったが(「その他」の費目として使用)、その際に万が一のことも考えて額を多めに請求したため、若干の残額が生じた。 この残額については、上述の通りデータ入力の作業が若干遅れ気味であるので、その解消のために次年度の謝金(データ入力人件費)もしくは設備費(データ入力作業に用いるコンピュータ購入費)に振り分けて増強し、作業の遅れを解消する予定である。
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