本研究は、名詞句の左端部における言語事象について、英語を主たる対象とし、ゲルマン・ロマンス諸語と比較しながら、比較統語論により研究を行うものである。名詞句の左端に関わる言語事象を詳細に調査し、EPP素性のパラメータ化、名詞句の左端部における機能範疇の種類・性質等を主な切り口としながら、文と名詞句の並行性を明らかにする事が本研究の目的である。 26年度は、EPP素性のパラメータ化と言語間の相違における役割、DPの左端部の機能範疇の性質と言語間の差異及び名詞句の左端部と文の左端部の共通点の3つの観点から、収集したデータ・先行研究を昨年度に引き続いて分析し、考察を加え、詳細に検討した。 初年度及び2年目の計画を継続すると共に、研究内容を発展・補完した。国内の研究者との学会での交流や、海外の研究協力者とのメールを通した意見交換等を通じ、2年目に続いて、フィードバックを得ながら研究を取りまとめる作業を進めた。 対象とする言語は英語を中心としながらも、比較統語論の観点からゲルマン・ロマンス諸語を広く調査し、英語名詞句の左端に関わる言語事象を浮き彫りにするという成果が得られた。本研究はミニマリズム以前の生成文法理論研究、とりわけ80~90年代のGB理論時代の遺産に光を当て、ミニマリズム理論において見直すものである。最終年度である26年度においては、これらの成果を論文としてまとめ、公刊する準備を進めた。
|