研究課題/領域番号 |
24520554
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
長谷川 宏 専修大学, 法学部, 教授 (90208497)
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キーワード | 生成文法 / 統語論 / 再帰代名詞 |
研究概要 |
2013年7月に米国ミシガン大学アナーバー校とカリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)に出張した。ミシガン大学では、ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)教授の、“What is Language, and Why does it Matter”と題された講演会に参加した。ミニマリスト・プログラムにおける最新の理論展開が示され、提案された新たな統語的メカニズムが、再帰的要素の束縛現象を分析する上で有用であり、本研究の今後の展開に生かせる可能性が確認できた。UCSDでは、ヒスパニック系二言語話者の英語・スペイン語使用に関するデータ・文献を収集し、このような話者が2つの言語を用いる際の再帰的要素の統語的振る舞いの分析を行う上で、貴重なデータ・文献を入手することができた。 さらに、2014年3月には、ノーム・チョムスキー教授が来日し上智大学で行った“The Architecture of Language Reconsidered”(「言語の構成原理再考」)と題された講演会に参加した。これを受けて慶応義塾大学で開催された慶應言語学コロキアムSYNTAX SESSIONにも参加し、チョムスキーが“Problems of Projection”で示した新提案とその後の理論展開についてその詳細を知ることができた。構造がつくられる(structure building)過程において作用すると考えられてきたlabelingのメカニズムがかかわる統語的・形態的プロセスについての新理論が、本研究の再帰的要素の今後の分析において、新たな知見を与えるものであることを確認できた。 これらの研究成果については、平成26年度中に論文または学会発表の形で公にする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語の再帰的要素についてのデータ・文献収集とその分析については、論文や学会発表ができる形に近いところまで研究が進んでいる。ただ、英語以外の言語の再帰的要素については、データや文献収集がまだ十分でなく、その分析も論文や学会発表で公にできるところまではまだ進んでいないが、平成26年度中には成果が提示できるよう研究を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
英語の再帰的要素に関して引き続きデータ・文献収集とその分析を進める。さらに、英語以外の言語の再帰的要素について、まだ十分でないデータ・文献収集を、欧米系以外の言語にも範囲を広げ、その充実をはかる。英語とその他の言語における再帰的要素について、比較検討の対象を欧米系言語以外にも広げながら分析を進め、その統語的・形態的性質の異同とそれを生じさせる要因・メカニズムについて明らかにしていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
データ収集のため購入するDVD等のメディアや、関連する文献について、今後発売されるものを購入する予定があるため。また、平成26年度に調査や文献資料収集等のため海外出張する予定があるため。 再帰的要素の分析にかかわる言語学関連文献や、データ収集のためのDVD等のメディアを購入するとともに、調査・文献資料収集等のため海外出張を行う。
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