研究課題/領域番号 |
24520558
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
菅原 真理子 同志社大学, 文学部, 准教授 (10411050)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 英語 / 強勢 / 知覚 / 韻律 |
研究概要 |
平成24年度は,日本語話者が英語の二音節語全体(語頭と語末音節のピッチ値が同じ場合)を聞いて強勢パターンを知覚判断する際に,英語母語話者とは異なりiambicパターン偏向が出てしまうことに対する二つの仮説,すなわち(あ)日本語の外来語アクセントのパターンの影響であるとする仮説と(い)declination を想定して語頭と語末音節の際立ち度合を補正して知覚しているとする仮説のどちらが妥当であるかを検証するため,日本語話者30名,英語話者21名を被験者とする知覚実験を行った. 条件は二つ設けた.条件①では全ての音節の物理的ピッチ値が等しくなるように音声合成した単語全体(例えばTRANSplant vs. transPLATNT などの語全体)を聞かせ,条件②では,その音声合成した単語から語頭の音節だけ(例えばTRANSplant vs. transPLANT のtrans-の部分のだけ)を切り出してを聞かせ,聞いた単語がtrochaicなのかiambicなのかを判断させた.(あ)の仮説は,条件②でも条件①と同じように,日本語話者のiambicと判断する率が高くなると予測するが,(い)の仮説は日本語話者のiambicと判断する率は条件①より条件②で低くなると予測する. 結果:もともとtrochaicのパターンをとる語(例:TRANSplantなど)に対しても,もともとiambicのパターンをとる語(例:transPLANTなど)に対しても,日本語話者は条件②でiambicと判断する率が条件①よりも低くなった.これは(い)の仮説に沿う結果であり,この結果から,日本語話者のiambic偏向の原因は,外来語のアクセントパターンの影響ではなく,(い)の仮説にあるようにdeclinationを考慮した補正によるもの,もしくは他の要因によるものということが見えてきた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は,交付申請書に記載した「研究の目的」と「研究実施計画」通りの実験を実施し,またその実験結果も学会(平成25年1月に行われた国立国語研究所主催のICPP2013および平成24年10月に行われたソウル大学で韓国言語学会・Linguistic Society of Koreaの大会)にて発表することができた.よって,「おおむね」順調に進んでいると判断している. しかし,本来ならば平成24年度中に,この実験結果を報告書としてまとめたかったが,その報告書をいまだ執筆中という点で,100%予定通りに進展しているとまでは断言できない.
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した「研究の目的」および「研究実施計画」に従い,平成25年度は,第一言語の韻律特性や語彙特性から,英語の強勢パターンの知覚判断がどこまで予測できるものなのかを,日本語母語話者だけでなくそれ以外の言語,例えば韓国語ソウル方言を母語とする英語学習者でも検証する.韓国語ソウル方言の母語話者は,同志社大学の留学生および近隣の大学の留学生より30名ほど募る予定.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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